日本株と不動産を“金〇グラムで売買”できるものと仮定して考えてみました
日本で金価格が4,258円の時、海外のニュースでは「今日の金価格は1234.91ドルでした」などと報道されたりします。
「え~っと、1ドル107円24銭だったら1234.91ドル×107.24円/ドルで、13万2,432円もする?」と考える方はまずいないとは思いますが、日本での金価格は1グラム当たりの円価格、海外では1トロイオンス(31.1034768グラム)当たりの米ドル価格で表示されます(ちなみにトロイオンスは常用オンス=約28.35グラムとは別物です)。
コモディティの価格は「一物一価」で世界のどこでも同じといわれます。なかでも金などの貴金属は単価が高いので輸送コストが相対的に低く、原油や穀物と違って産地による性質の違いがなく、「世界のどこでも同じ価格」という特徴が顕著に現れます。
このため、1トロイオンス当たりの米ドル価格を31.1034768で割って1グラム当たりに換算し、これに円/ドルレートを乗じれば円建ての金価格とほぼ同額になります(上記の例だと$1234.91/toz÷31.1034768×JPY107.24/$ → 4,258円/g)。
金は米ドル価格(米ドルと金との交換比率)がまず決まって、それを各通貨建ての価格に換算します。この手順は何かに似て……、そう、外国為替レートとそっくりです。つまり、“金という通貨のクロス円レートを円建の金価格と呼んでいる”わけで、金は依然として準通貨ともいえる側面を持ち続けています(仮想通貨のビットコインも仕組みは似ています)。
そこで、今回は日本株と日本の不動産を“金〇グラムで売買”できるものと仮定した場合の価格変化をみてみました。
日本株、国内不動産は40年間で大幅上昇、でも“金貨”だったら35-70%減?
米国が一方的に米ドルと金の交換停止を宣言した1971年に米ドルが実質的な金本位制を止めた結果、日本円も非兌換通貨となりました。そこで1971年を100として、その後の国内不動産価格(全国平均と東京圏平均)、株価(日経平均)、円建金価格と、米ドル(円/米ドルレート)の価格変化が図1です。
まず、米ドルですが40年間多少の変動はあっても一貫して大きく下がっています(円高ドル安)。金は二度のオイルショックの後、各国中央銀行の金放出によって米ドル建ての価格が低迷したため、円建価格も長期間調整しました。しかし、2000年頃からの上昇は目覚しく、株、不動産を大きく上回っています(配当、不動産からの収入や税金は考慮せず)。
株価(日経平均)は1980年代終りの株・不動産バブル期は突出していましたが、その後は振幅を繰り返しています。不動産価格は東京圏、全国平均ともに1991年のバブル崩壊後はジリ安の展開となっています。結果を見れば、40年間の円ベースのパフォーマンスは、金地金>株>東京圏の不動産>全国の不動産>米ドルとなりました。
