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原油相場は「底値」か 恐怖指数「原油版VIX」が使えるか調べてみた

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2015/01/21 08:00

 原油価格が半値以下まで急落し、資源国の財政破綻が懸念される状況になってきました。下落スピードの早さと値ごろ感から、「もうそろそろ底値」と言う声もちらほら。原油版恐怖指数が原油相場の底値確認に使えるか調べてみました。

原油版恐怖指数から見れば、「底値」は待ってもいいかも

 米国株指数のS&P500指数には、オプション価格から逆算されるS&P500 VIX(ヴィックス)指数があります。株価暴落時に急上昇することから「恐怖指数」としても知られ、株価の底値圏を示す目安として、また先物やETFの形で短期的なヘッジ手段として利用されています。

 同様の方法で産出された原油版VIXもあり、2008年からCBOE Crude Oil Volatility Index(ティッカーOVX、以下「原油版VIX」)が公表されています。これは原油に投資する米国上場の原油に投資するETF(対象としている上場投信はUnited States Oil Fund, LP (ティッカー USO))のオプション価格から逆算されたものです。

 原油取引は通常先物なので、本来は原油先物を対象とすべきなのですが、先物は次々と直近限月が変わってしまうという技術的な問題から、同一銘柄が長期間存在するETFを算出対象としたようです。

 ただ、この原油版VIX(OVX)の公表は2008年からに過ぎず、公開されているバックデータも2007年までしかありません。これでは暴落を1回しか経験していないので、投資シグナルとしての有効性の検証には不十分です。

 そこで、もっと以前からもしOVXがあったらという前提で推計値(推定VI)も算出してみました。原油価格、原油版恐怖指数(OVX)、推定VIと、主な過去の原油暴落や関連イベントを加えたのが図1です。

クリックすると拡大します(以下、同)

 まず、原油版VIX(緑実線)が存在する期間で推計原油VI(薄小豆色エリアチャート)と比べると、概ね一致してバッチリな推計値となっているといえます。

 次に、原油の価格レンジが変わっても変化率が分かりやすいように対数目盛で表した原油価格(紫実線)を見ると、原油価格は短い時は数年、長くても10年に1回程度は50%超も暴落していることが見て取れます。

 原油の投資は、「原油価格はゼロにならない」ものの、値動きから言えるのは、「ゼロにはならないが、簡単に半値になる」ことです。これに円高が加われば、投資元本の2割から3割(7割から8割の損!)になってしまうことも珍しくないといえます。

 また、過去の暴落の原因としては、バブル崩壊や景気後退だけでなく、サウジアラビアや他のOPEC加盟国の増産がきっかけになっていることも興味深いところです。今回も、米国のタイトオイル(地中のシェール層の掘削や水圧破砕によって得られる非在来型原油、本来の意味とは違うものの“シェールオイル”と各種メディアでは呼ばれることもある)の増産とサウジアラビアのシェア奪回のための減産回避が、原油価格急落を招いたとの見方があります。

 原油価格急落時の推計原油VIを見ると、1985-1986年のサウジ増産時、1990-1990年湾岸戦争後、2008年の世界金融危機時のすべてにおいて、大底圏で推計原油VIは100以上にまで跳ね上がっています。1997-1998年のOPEC増産後の下落でも推計原油VIは88、また、ITバブル崩壊と9.11テロで景気が落ち込み原油価格が急落した2000-2001年でも推計原油VIは83まで上昇しています。

 一方、直近の下落では、下落率では過去の暴落水準になっていますが、推計原油VIで50程度、原油版VIX(OVX)でも53程度までしか上がっていません。そうなると、下落率で十分下落したと思うなら“原油は買い!”かもしれないものの、原油版VIXで見て相場のパニック度が足りないと考えるなら、もうちょっと原油版VIXが上がる局面まで待ってでもよさそうです。


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