高齢化社会の到来が叫ばれて久しいが、総務省が4月17日に発表した人口推計によると、65歳以上の人口は3,300万人で、前年に比べて110万2,000人の増加となり、初めて年少人口(0〜14歳)の2倍を超えた。
ビジネス視点でこれを見ると、高齢者は重要なターゲットだと言える。中でも、アクティブシニアと呼ばれる定年前後の人たちの心をつかむことこそ、事業成功のカギになりそうだ。そこで、航空業界や旅行業界なども、さまざまなサービスを提供している。
例えば、全日空の「シニア空割」では、65歳以上のANAマイレージクラブ入会者を対象に、大幅な割引サービスを実施している。日本航空も「当日シルバー割引」で、国内主要路線の割引を実施している。また、高速バス大手のウイラートラベルは、「おとなの自由旅」として、55歳以上を対象に、東京‐大阪間3,000円という格安運賃を用意している。
定年を迎えたシニアの中には、その後の人生を謳歌しようとする意欲が高い人が多く存在する。充実した年金制度と年功序列による高額な退職金などで、経済的に余裕のある人が多いとみられる。企業もこうした層を逃すまいと、あの手この手のサービスで顧客囲い込みを実行しているのだ。
新たな参入の動きもある。阪急阪神HDは4月20日、ロイヤルコミュニケーション倶楽部と資本提携し、アクティブシニア向けのライフサポート事業に参入すると発表した。会員制サロンを開設し、趣味や旅行などを通じた会員の交流、現役時代の経験を生かしたビジネスやボランティアなどの機会を提供しようというもの。電鉄というブランド力で、シニアをターゲットにした事業を本格化しようとしている。
単なる公共施設や公共交通機関の割引では満足しないのが、今のアクティブシニアの特徴と言えるかもしれない。意欲的で行動力もある、こうした層をどうビジネスに取り込むかが今後のビジネスのカギになりそうだ。
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