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手形交換に代わる新たな決済手段「でんさい」
拡大傾向も全体の1.4%にとどまる

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2015/11/21 18:00

 東京商工リサーチが11月9日に発表した「手形・でんさい動向調査」の結果によると、2014年(1月~12月)の手形交換額は前年比9.2%減の332兆6,553億円となった。ピークだった1990年の手形交換額は4,797兆2,906億円。当時と比較するとわずか6.9%まで減少した。

 手形交換制度は、主に個人や企業が振り出した小切手や手形を金融機関同士が相互に決済するため、複数の金融機関が手形交換所に集合して交換し、その受払差額を計算する仕組み。最近では、低金利で資金調達が可能な大手企業や優良企業が決済を手形から現金へシフトしているほか、決済不履行を起こしても取引停止処分がない現金決済を選ぶケースも増えており、手形交換額は減少傾向にあるようだ。

 手形交換制度に代わる新たな決済手段として登場したのが「でんさい(電子記録債権)」だ。「でんさい」は手形や売掛債権などとは異なる新たな金銭債権で、手形や売掛債権を電子化したものではない。企業間取引などで発生した債権についてパソコンなどで電子記録をすることで、安全かつ迅速に債権の譲渡もできる。

 東京商工リサーチによると、スタートした2013年(2月~12月)のでんさい額は1兆495億1,000万円で、2年目の2014年(1月~12月)には4兆7,611億5,600万円まで大きく拡大。また、2015年は9月時点で前年を上回る5兆6,311億2,600万円に達しており、でんさい額は大きく拡大する見込みだ。ただ、でんさい額は手形交換額の約1.4%にとどまっており、依然として決済手段として手形が重要な位置を占めている。

 手形の場合には作成や交付、保管にコストがかかるほか、紛失や盗難のリスクがある。しかし、「でんさい」の場合には電子データの送受信で譲渡ができるだけでなく、電子データは全国銀行協会の電子債券記録機関「でんさいネット」の記録原簿で管理されているため譲渡や管理の手間が省ける。また、手形と異なって分割が可能、印紙代がかからないなどのメリットがある。一方、売掛債権には存在があいまいだったり二重譲渡などのリスクがあるが、「でんさい」の場合には電子記録により存在や帰属が可視化されるためリスクが少ない。

 このように手形や売掛債権などの問題点を克服した新たな金銭債権「でんさい」は、利用するメリットが大きい。手形に代わる決済手段として定着するには、その良さを広く知ってもらう必要がありそうだ。

 

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