MONEYzine(マネージン)

テーマ別に探す

病院・診療所の32.3%が赤字、調剤薬局は14.1%
診療報酬見直しで収益環境逆転の可能性も

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
2015/12/19 14:00

 超高齢化社会を迎えつつある中、平成37年(2025年)にはいわゆる「団塊の世代」が75歳以上となる。人口の減少という課題を抱えながら、将来にわたって持続可能な医療制度を整備する必要がある。そこで厚生労働省は12月7日、平成28年度診療報酬改定の基本方針を発表した。

 基本方針の中では、患者の状態にあわせた質の高い医療を適切に受けられる体制を確保するため、医療機能の分化・強化、連携を進め、効率的で質の高い医療提供体制と地域包括ケアシステムの構築が重要であると訴えている。また、後発医薬品の使用促進や価格適正化、患者の早期退院を促すための退院支援の取り組み、残薬や重複・過剰投薬を減らすための取り組みなど、増大する医療費を抑えることの必要性にも言及している。今後は、この基本方針に従って診療報酬などが見直されることになる。

 そんな中、東京商工リサーチは12月8日、「病院・診療所と調剤薬局の業績動向調査」の結果を発表した。調査は同社が保有する約300万社の企業データベースの中から、売上高と利益が3期連続(最新期は2014年4月期~2015年3月期)で判明した2万5,179社の「病院・診療所」と672社の「調剤薬局」を分析したもの。

 それによると、病院・診療所の総売上高は前期比1.3%増の11兆5,716億円で2期連続の増収となったものの、利益の合計額は2,466億円で前期より16.6%減少した。また、病院・診療所の赤字比率は32.3%で、前期の30.3%、前々期の27.0%と比較して、赤字比率が年々高まっている実態も判明した。

 一方、調剤薬局の総売上高は前期比6.6%増の1兆7,042億円で2期連続の増収、利益の合計額は365億円で前期比4.1%減少した。また、調剤薬局の赤字比率は14.1%で、病院・診療所と比べると収益環境は良好であることも分かった。

 東京商工リサーチによると、2016年度の診療報酬改定では、病院付近で処方箋を対象とする門前薬局の調剤報酬の見直しが検討されており、その内容次第では病院・診療所の経営内容が改善され、調剤薬局が厳しい状況に陥る可能性も想定されるという。

 医療費の増大が問題となっている一方で、国民が質のよい医療を継続して受けられる仕組みが求められている。今後の医療制度や医療業界の動向に注目が集まる。

【関連記事】
膨張する医療費、残薬問題は患者も原因か 58.9%の医師が「薬を出さないとうけが悪い」と回答
生活保護受給者の医療費無料は不公平か 医師の7割以上が医療費の一部負担に賛成
海外旅行保険、事故発生率や医療費が増加傾向に 2,000万円を超える支払い事例も
知られざる、お金が戻ってくる健康保険の使い方 海外での医療費や禁煙、人間ドックでも
米国研究者が「砂糖税」訴え、関係業界反論 メタボ、医療費の改善策となるか

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連リンク


All contents copyright © 2007-2021 Shoeisha Co., Ltd. All rights reserved. ver.1.5