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米国の長期金利と市場環境への影響

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2018/06/01 11:00

 米国の長期金利の動向が注目されています。投資家にとって気になるポイントを見てみましょう。

 金利上昇は国家、企業、家計の金利負担の上昇につながるため株式投資家にとってのリスク要因であるほか、金利上昇は既発の債券価格の下落を伴うため債券投資家にとってもリスク要因です。本稿は以下のような視点で、米国の長期金利と市場環境への影響を分析します。

  • 今回の長期金利の上昇は過去の長期金利上昇とは状況が異なる。
  • 長期金利だけでなく短期金利も上昇しており、長短金利差の逆転は景気後退のシグナルに。
  • 影響が大きいのは新興国の株式と債券。

反転し始めた米国の長期金利

 図1は、1998年から2018年5月までのNYダウ平均株価と米国の長期国債の利回りの推移です(2018年5月は30日までのデータ、以下同じ)。本稿において長期金利は長期国債の利回りを指します。

 図1を見ると、長期金利の上昇局面は何度か発生していることが分かりますが、今回の長期金利の上昇は過去の長期金利上昇局面とは景気がピークに近く、かつ、財政状況が悪化している状況下であるという点で異なっています。景気動向は失業率で見ると趨勢が分かりやすいでしょう。すなわち、失業率が低下しているときは景気の回復局面、失業率が上昇しているときは景気の後退局面と見ます。

※グラフをクリックすると拡大します。

 図2にあるように、2013年から2014年の長期金利上昇局面では失業率は6%を超えている状況であり、過去と比較して景気回復の中盤と言える状況でした(失業率と財政収支のデータは4月まで)。その前の長期金利上昇局面である2009年末から2010年は、金融危機を乗り越えて株価反発が見られ、景気回復への期待から株式が買われて債券が売られた時期でした。財政収支が大幅にマイナスであったのは現在と一致していますが、失業率の上昇に歯止めがかかり、不景気からの脱却が期待されたゆえでの長期金利の上昇でした。

※グラフをクリックすると拡大します。

 現在の失業率が歴史的な低水準であることを踏まえると、景気はピーク圏にあると思われます。景気回復期待による長期金利の上昇というより、トランプ政権下での減税や財政出動による財政収支悪化を懸念した国債売りの裏返しであり、決して楽観視できるものではないと言えるでしょう。

短期金利の上昇

 長期金利の動向に注目が集まりがちですが、より心配なのは短期金利の上昇です。図3にあるように長期金利だけでなく短期金利も上昇しています。本稿では短期金利として2年国債の利回りをとっています。返済期間が長くなるほど借り入れ金利が高くなるように、通常、短期金利よりも長期金利の方が利回りは高くなります。しかし、過去には短期金利と長期金利の利回りが逆転したことがあり、これは景気の後退のシグナルとされます。

 図3の点線で囲んでいるところが長短金利が逆転した局面です。最近の長短金利差は0.50%を割ってきており、景気後退のシグナルが出るのも時間の問題であると言えそうです。

※グラフをクリックすると拡大します。

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著者プロフィール

  • 小野田 慎(オノダ マコト)

    eワラント証券 投資情報室長。一橋大学法学部卒業後、大和証券投資信託委託に入社、投資信託の開発業務に携わる。2005年からイボットソン・アソシエイツ・ジャパンにて金融機関向けのコンサルティング、企業等の評価に用いる資本コストの分析業務、投資信託の定量評価、現代ポートフォリオ理論に基づいたアセット・アロケーション(資産配分)に関する投資助言を行う。ゴールドマン・サックス証券を経て2011年8月より現職。ポートフォリオ構築の専門家としての経験を活かし、幅広い資産の分析を行う。社団法人日本証券アナリスト協会検定会員。

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