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日銀レビューで「アマゾン・エフェクト」を分析、ネット通販に物価押し下げ効果

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2018/06/20 18:30

 ネット通販の急成長によって、小売の環境は厳しさを増し、値下げ圧力にもつながっている。この「アマゾン・エフェクト」と呼ばれる現象について、日銀レビューが分析している。

「アマゾン・エフェクト」とは

 「アマゾン・エフェクト(Amazon Effect)」とは、Amazonなどのインターネット通販の急速な拡大によって、スーパーなど既存の小売企業が直面する競争環境を厳しいものにし、値下げ圧力にもつながっている状況を指す。

 6月18日に公開された日銀レビュー「インターネット通販の拡大が物価に与える影響」(調査統計局 河田皓史、平野竜一郎 著)では、このアマゾン・エフェクトを取り上げて国内の状況を分析している。

 同レポートが紹介している先行研究では、日本を含む10か国で、インターネット販売価格と実店舗販売価格を大量に収集して両者を比較。多くの国ではインターネット販売価格のほうが実店舗よりも割安になっている。その中で日本については、インターネット販売の相対価格が際立って低いことが指摘されていた。ただし、4社(うち3社は家電量販店)のみの販売価格データから得られた結果であるため、家電等に偏っている可能性が高いとレポートでは指摘している(以下、図版はすべて、日銀レビュー「インターネット通販の拡大が物価に与える影響」より引用)。

 実店舗を持たないことによるコスト削減に加えて、ネット通販各社は近年、物流業者に頼らず自社で物流ネットワークをも整備。価格抑制の傾向はさらに強くなりそうだ。

「インターネット購買比率」を説明変数としたパネル推計

 日本の消費者物価指数(CPI)は、原則としてインターネット販売価格を価格調査対象としていないが、既存の小売企業の一部が対抗措置としての値下げを行うことで、結果的にCPIで計測される物価が下押しされる可能性はある。

 同レポートでは、過去2~3年程度のデータを用い、地域ごとの消費者物価を被説明変数、需給ギャップと地域ごとの「インターネット購買比率」を説明変数としたパネル推計を行った。消費者物価としては、日用品や衣類などインターネット通販との競合度が高いとみられる財(インターネット競合財)のほか、それ以外の財やサービスも含む総合除く生鮮食品・エネルギーを用いた場合も参考までに推計している。

 その結果、「インターネット購買比率」に係るパラメーター(β)は有意にマイナスとなっており、インターネット購買比率の上昇は消費者物価の伸び率を下押してきたことがわかる。

 2017年のインターネット購買比率の上昇幅(+0.6%ポイント程度)と推計されたパラメーターをもとに、消費者物価に対する押し下げ圧力を定量化したところ、インターネット競合財に対しては-0.3%ポイント程度、総合除く生鮮食品・エネルギーに対しては-0.1~-0.2%ポイント程度の押し下げ効果を持つとの結果が得られた。

 データのサンプル数がそれほど多くないこと、非常に単純な推計であること、説明変数としてサンプル要因による振れの大きい需要側統計を用いていることを考慮に入れる必要があるが、ネット通販の拡大が日本の物価に対して一定の押し下げ圧力をかけてきたとの見方は妥当性があると考えられると同レポートでは結論づけている。

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