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中古住宅の不安を取り除く、建物状況調査(インスペクション)市場、年率10%成長

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2018/07/07 18:00

 空き家が増加を続ける中、中古住宅の流通拡大が課題になっている。そこで、消費者が安心して中古住宅を購入できるよう宅地建物取引業法の一部が改正され、4月から宅建事業者による建物状況調査の告知・斡旋が義務化された。また、国土交通省は国家資格「既存住宅状況調査技術者」を定め、2月には建築士有資格者を対象とした「既存住宅状況調査技術者講習制度」を創設して、中古住宅診断の専門家の育成に乗り出している。

 そこで矢野経済研究所は、既存住宅インスペクション事業者などを対象に「既存住宅インスペクション(住宅診断・検査)市場」を調査し、市場概況や将来展望などについて6月21日に発表した。調査期間は3月から4月。既存住宅インスペクションは、既存住宅を目視などを中心とした現況調査を行い、建物の劣化や欠陥の有無などを把握する調査のことで、建物状況調査とインスペクションは同義になる。

 2016年度の既存住宅インスペクション市場を見ると、売主が物件の流通前に行う「売主主体」のインスペクションの件数は3万件で金額ベースが約13億5,000万円、買主が物件購入などの前に行う「買主主体」のインスペクションの件数は1万5,000件で金額ベースが約8億3,000万円と推計されている。同市場は売主主体のインスペクションを中心に成長を続け、全体の件数ベースでは2017年度が5万2,500件、2018年度が6万1,400件、2019年度が7万1,000件、2020年度が8万1,700件で、年率10%程度の成長率で推移すると推計されている。

 一方、住宅メーカー7社が合同で運営するサイト「イエノミカタ」と株式会社オールアバウトは共同で、中古住宅購入に関する意識調査を実施し、その結果を3月1日に発表した。調査対象は中古住宅の購入を検討したことがある東名阪エリアの30歳以上の男女661名で、調査期間は2017年11月2日から9日。

 中古住宅購入を検討する際に不安に思った点や、それがネックになって購入を見送った点について複数回答で聞いた。最も多かったのは「隠れた不具合の有無」と「設備の老朽化」の59.6%で、「リフォーム費用」の52.6%や「耐震性などの住宅性能」の45.1%を上回った。

 また、中古住宅購入の際に開示されていると安心だと思う情報を同様に聞くと、「過去のメンテナンス・リフォーム履歴」(69.1%)、「定期点検の結果」(64.6%)、「耐震性能の有無」(62.8%)、「新築時の設計図や設備」(55.4%)が多く、「特にない」はわずか2.7%にとどまった。

 消費者は中古住宅購入時に見えない部分に不安を感じる傾向にあり、メンテナンス履歴や定期点検の結果など、何らかの情報開示を求める傾向にある。宅建事業者による建物状況調査の告知・斡旋の義務化でインスペクションに対する認知度が向上すれば、新たな需要を喚起する可能性もありそうだ。

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