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「人間の脳は資産運用に向いていない」ウェルスナビ柴山氏が語るロボアドバイザーとAIの時代

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2018/07/22 10:00

 「プライベートバンクの資産運用サービスは、決して富裕層だけのものではない」と語る、ウェルスナビCEO 柴山和久氏。働く世代を支援する、これからの投資の考え方についてうかがいました。

忙しい「働く世代」向けに作ったサービス

「莫大な資産がなければ、富裕層向け資産運用サービスは受けられない」は本当か? アルゴリズムとテクノロジーで資産運用の自動化を進めるウェルスナビCEO柴山和久氏。同社が提供するロボアドバイザーはどのようなものなのだろうか(インタビューの前半はこちらから)。

――2016年7月にスタートしたロボアドバイザー「ウェルスナビ」、現在はどのような状況でしょうか。

柴山:1年前の預かり資産は百数十億円でしたが、現在では900億円を超えています。イメージとしては大体9万人弱の方が、1人あたり100万円強運用しているかたちです。

ウェルスナビ代表取締役CEO 柴山和久氏東京大学法学部、ハーバード・ロースクール、INSEAD卒業。ニューヨーク州弁護士。日英の財務省で9年間、予算、税制、金融、国際交渉に参画。その後、マッキンゼーではウォール街に本拠を置く機関投資家を1年半サポートし、10兆円規模のリスク管理と資産運用に携わる。2015年4月にウェルスナビを創業。

ウェルスナビ代表取締役CEO 柴山和久氏
東京大学法学部、ハーバード・ロースクール、INSEAD卒業。ニューヨーク州弁護士。
日英の財務省で9年間、予算、税制、金融、国際交渉に参画。その後、マッキンゼーではウォール街に
本拠を置く機関投資家を1年半サポートし、10兆円規模のリスク管理と資産運用に携わる。
2015年4月にウェルスナビを創業。

ウェルスナビには、3つの大きな特徴があります。1つは資産運用のプロセスのうち、特に長期・積立・分散の資産運用を自動化していること。忙しく働く世代の人たちにとって、絶えずマーケットを見たり、取引をしないといけないというのは現実的ではないからです。

2つめは、アルゴリズムで運用しているということ。これからアメリカで金利が上がっていくんじゃないかとか、株価が割高・割安なんじゃないかといった主観は一切入れずに、客観的に運用をしています。さらにそのアルゴリズムがどういうものかもウェブサイトで情報を公開しています。ロボアドバイザーは、従来の金融・資産運用サービスと比べても、一段高い透明性が必要だと思っているからです。

3つめは手数料が預かり資産に連動していることです。伝統的に日本の金融サービスというのは、取引に対する手数料を受け取るかたちになっています。ATM、為替取引、FXなどがそうですよね。ウェルスナビがお客様から受け取る手数料は、預かり資産の1%、3000万円を越える部分は0.5%(いずれも年率・税別)です。そのほかのサービスはすべて無料で利用できます。

取引ベースの場合、お客さまの資産が減っていても、取引さえしていただければ収益を上げることができる。つまり、金融機関とお客さまの利益の方向性が反対になってしまう可能性がある。それを最初から排除する仕組みになっています。

――アプリの操作画面はとてもシンプルですね。

柴山:ウェルスナビのアプリでは最初に6つの質問に答えると、最適な資産運用を提案するようになっています。これは、アメリカのフィナンシャルプランナーの協会やプライベートバンクの協会が出している質問項目をベースにしています。富裕層向けのサービスでは30個の質問をすることになっていて、全部ヒアリングすると2、3時間かかります。でも、資産運用のプランを決めるうえで一番重要な質問は、実は5つぐらいなんです。

左:アプリに表示される6つの質問画面、右:リーマンショックが起きたときの資産運用シミュレーション、資料提供:ウェルスナビ

左:アプリに表示される6つの質問画面、右:リーマンショックが起きたときの資産運用シミュレーション
資料提供:ウェルスナビ

アプリでは、今がもし2008年1月で9か月後にリーマンショックが来るという場合に何が起こるのかをボタン1つで表示できるようにしています。この画面はウェルスナビを利用開始する前でも、利用している最中でもいつでも呼び出すことができます。

なぜこうしているのかというと、リーマンショックのような極端なことが起きた場合のリスクもガラス張りにするという考えからです。私たちにとって一番不利な情報ですが、それをあえて出しています。そのうえで、長期的には10年でプラスになるというところを説明しています。短期的にお金を増やすということではなく、中長期的に長い目で取り組んでいくということをサポートしようということです。

アルゴリズムの中身

――資産運用のエンジンとも言える「アルゴリズム」について教えてください。

柴山:資産運用のプランを出すアルゴリズムの理論をわかりやすく説明すると、何百万通りの資産の組み合わせについてリスク・リターンをあらかじめ計算しています。この青い点のひとつひとつが、異なる資産の組み合わせです。横軸がリスク、縦軸がリターンです。

縦に並んだ赤い点に注目すると、リスクが同じです。リスクが同じならリターンが高い方がいいに決まっていますよね。リスクを上げると、一番上の赤い点が少し右に動き、下げると左に動きます。そうすると、リスクあたりのリターンが一番高い資産の組み合わせをつなげていくと、こちらのグラフのような曲線を描く。この資産配分の算出は、1990年にノーベル賞を受賞したハリー・マーコビッツ氏が礎を築いた現代ポートフォリオ理論に基づいています。

最適なポートフォリオ(資産の組み合わせ)はドットの上にある青い曲線上にある資料提供:ウェルスナビ

最適なポートフォリオ(資産の組み合わせ)はドットの上にある青い曲線上にある
資料提供:ウェルスナビ

私たちひとりひとりの金融資産はこの青い曲線上にあればいい。グラフのうえにある3つの円グラフはポートフォリオを表しています。若い人だったら、右からスタートして、株式に8万円ぐらい、新興国にも投資をしようと。そろそろ退職するという人であれば、株式6万円ぐらいというように、右から左へだんだんリスクを下げていく。これが資産運用のあるべき姿ということになります。

ちなみにこれを手計算でやると、一生かかっても計算できないでしょう。一番上の赤い点は方程式では解けないので、コンピューターが数百万通り計算し、結果を比べて決めています。コンピューターのおかげで実現できる機能です。


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著者プロフィール

  • MONEYzine編集部(マネージンヘンシュウブ)

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  • 関口 達朗(セキグチ タツロウ)

    フリーカメラマン 1985年生まれ。 東京工芸大学芸術学部写真学科卒業。大学卒業後、小学館スクウェア写真事業部入社。契約満期後、朝日新聞出版写真部にて 政治家、アーティストなどのポートレートを中心に、物イメージカットなどジャンルを問わず撮影。現在自然を愛するフリーカメラマンとして活動中。

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