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ネット証券最大手「SBI証券」がリアルチャネルに注力する理由

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2018/10/29 14:00

 これから投資を始める場合、「まずはネットで情報収集する」という人が多いはず。ネット証券最大手のSBI証券は現在、データやテクノロジー活用だけでなく、地方へ、そしてリアルチャネルへとビジネスを拡大しつつあります。

「待ち」の姿勢からの脱却

――現在、SBI証券の口座数は440万を超え、ネット証券最大手の地位を確立しています。「貯蓄から資産形成へ」の流れの中で、顧客層を含めてどのような変化がありましたか。

小川:SBI証券は、1999年10月にインターネット取引サービスを開始して以来、「顧客中心主義」の経営理念のもと、日本におけるオンライン総合証券の先駆者として、「業界最低水準の手数料で業界最高水準のサービス」の提供に努めてきました。その成果として、投資家の皆様から支持を受け、口座数、預り資産残高、株式委託売買代金のそれぞれで業界トップの地位を築くことができたと考えています。

株式会社SBI証券 取締役 小川裕之氏1975年生まれ、埼玉県出身。明治大学物理学科を卒業後、1998年株式会社三和銀行(現三菱UFJ銀行)入行。2005年伊藤忠商事株式会社入社。2012年GMOクリックホールディングス株式会社入社、経営企画部長を務め、同年FXプライム株式会社取締役に就任。2013年株式会社SBI証券入社し、経営企画部長、執行役員経営企画部長を経て、2017年取締役に就任。経営企画部・マーケティング部・コールセンター・人事部等を管掌する。またグループ会社であるSBIバーチャル・カレンシーズ株式会社、株式会社SBIビジネスサービス、株式会社SBIプロセス・イノベーター等の複数の取締役を務める。

株式会社SBI証券 取締役 小川裕之氏
1975年生まれ、埼玉県出身。明治大学物理学科を卒業後、1998年株式会社三和銀行(現三菱UFJ銀行)入行。2005年伊藤忠商事株式会社入社。2012年GMOクリックホールディングス株式会社入社、経営企画部長を務め、同年FXプライム株式会社取締役に就任。2013年株式会社SBI証券入社し、経営企画部長、執行役員経営企画部長を経て、2017年取締役に就任。経営企画部・マーケティング部・コールセンター・人事部等を管掌する。またグループ会社であるSBIバーチャル・カレンシーズ株式会社、株式会社SBIビジネスサービス、株式会社SBIプロセス・イノベーター等の複数の取締役を務める。

 ネット証券というと、「デジタル」なマーケティング手法や、AIなどの「テクノロジー」を使った自動化のイメージを持つ方も多いと思いますが、私たちは毎日5000~6000件入ってくるお客様からの電話を、社長以下、役員が毎日チェックしています。定例の役員会議でも、数字に出てこないお客様のクレームなど「生の声」を聞くということを行っています。ですから、徹底した「顧客中心主義」を貫いてきた結果だと思っています。

田中:顧客層の変化をデータで見ると、これまでの顧客の属性は、男性7割、女性3割。20代のシェアは全体の7~8%ほどでしたが、昨年「iDeCo」の制度が変わり、今年は「つみたてNISA」が始まったことで、若年層と女性が増えました。「NISA」と「つみたてNISA」では現在、女性の比率が4割ほど、20代は2桁まで上がっています。

株式会社SBI証券 マーケティング部デジタルマーケティング室長 田中大二氏1980年生まれ、東京都出身。成蹊大学経済学部を卒業後、2003年 株式会社リクルート入社。2007年 SBIマーケティング株式会社(現 株式会社カラック)入社し、金融・不動産業界を中心にマーケティング支援を行う。保険業界等を経て、2016年 株式会社SBI証券に入社。2018年2月にデジタルマーケティング室を立ち上げ、室長としてデジタルマーケティングを推進している。

株式会社SBI証券 マーケティング部デジタルマーケティング室長 田中大二氏
1980年生まれ、東京都出身。成蹊大学経済学部を卒業後、2003年 株式会社リクルート入社。
2007年 SBIマーケティング株式会社(現 株式会社カラック)入社し、
金融・不動産業界を中心にマーケティング支援を行う。保険業界等を経て、2016年 株式会社SBI証券に入社。
2018年2月にデジタルマーケティング室を立ち上げ、室長としてデジタルマーケティングを推進している。

小川:現在、当社の口座数は、年平均成長率(CAGR)10%ほどで成長し続けており、業界トップの野村證券を抜く未来も見えていますが、「貯蓄から資産形成へ」という流れをさらに加速させるには、まだ足りない。ネット証券は通常、基本的に「待ち」の姿勢なので、顧客獲得のチャネルについては、大きく2つ考えています。

 ひとつが「IFA(Independent Financial Advisor)」、独立系ファイナンシャルアドバイザーとの連携です。現在約170社と提携し、富裕層や対面でアドバイスを受けたい方にアプローチをしています。もうひとつは、地方銀行や信用金庫、信用組合などの地域金融機関との提携です。

地銀との連携がもたらすもの

――ネット証券であるSBI証券が、地銀と組むのはなぜなのでしょうか。

小川:「地方創生」はSBIグループが方針のひとつとして掲げているものです。現在、信用金庫や信用組合などを含む地域金融機関との提携数は30を数え、今後さらに拡大していく予定です。

 SBIグループは「フィンテック」と呼ばれるものから、AI、ロボティクスとさまざまなテクノロジー企業に出資しています。地銀が自らテクノロジーを選定し、導入することはかなりハードルが高いことですが、私たちと連携することによって、それらのテクノロジーを地銀でも導入しやすいサービスとしてパッケージ化し、提案しています。

 一方、地銀のインターネットバンキングの画面から、SBI証券にシームレスに連携することによって、地銀のネット顧客、地方にいる、もしくは地方出身の30代くらいのネットユーザーを口座開設へと誘導し、SBI証券の全商品を取引できるようにしています。これによって、私たちがアプローチすることが難しかった、地方の資産形成層にアプローチができるのではないかと思っています。

――確かにフィンテックの動向を追い、何を導入するのかを見極めるのは地銀に限らず難しいことですね。

小川:ただし、地方におけるインターネットバンキングの普及には時間がかかりますので、これは中期的な施策とも言えます。しかし、それを加速させる取り組みをしっかり行っています。

田中:取り組みの一環として、「JIMOTOZINE/ジモトジン」というオウンドメディアを運営しています。このメディアでは、あえて当社の名前を前面に出していません。地銀への送客につなげるために、ここから地方の情報を発信しています。

リアルな接点「共同店舗」の取り組み

小川:このほかに地銀との協力によって実現している施策として「共同店舗」があります。第1号店として、静岡県にある清水銀行の浜松東支店の中にブースを開設しました。このブースは子会社のSBIマネープラザが運営しているのですが、株や投資信託だけではなく、富裕層に人気の節税商品などを取り扱っています。

 地銀は地元での認知は高く、信頼もされています。しかし、今まで地銀が勧めてきたのは主に貯蓄系の商品でした。預金はしてくれるのですが、収益源となる投資商品にはなかなか手を出してもらえなかった。そして、株や投資信託を買おうというときには、野村、大和、日興といった対面証券の地方支店に行ってしまうことも多いと聞きます。

 私たちが運営している共同店舗では、SBIマネープラザの担当者が、資産運用・形成のアドバイスをします。資産運用・形成を目的とするお金は、地銀からSBI証券の口座に入ってきます。一方、地銀にとっては、今は預金を置いておいてもビジネスにはなりませんが、共同店舗を通じてお預かりした資産から上がった収益は、SBI証券から地銀にキックバックされます。

――証券会社と地銀だからこその連携ですね。

小川:ネットでは絶対に獲得できない地方の富裕層との接点になるので、私たちにとっては非常に重要な拠点です。共同店舗2号店は、福岡県にある「筑邦銀行 SBIマネープラザ久留米」になりますが、ここも急速にビジネスが生まれています。この成功モデルを拡大し、今年度内には7~8店舗くらいまで拡大していきたいと考えています。


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著者プロフィール

  • 井浦 薫(編集部)(イウラ カオル)

    MONEYzineのロゴ下のキャッチコピーが「投資とお金のこと、もっと身近に」に変わりました。
    これから大きく変化していくこの領域で、注目の人やサービス、テクノロジーを紹介していきたいと思います。ウェブだけでなく、MarkeZine BOOKSの書籍編集も担当しています。

  • 慎 芝賢(シン ジヒョン)

    フリーカメラマン 日本大学芸術学部写真学科卒業後、朝日新聞出版写真部勤務。
    2014年フリーカメラマンに。
    雑誌・書籍・新聞・web媒体を中心に撮影を行う。

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