「人材ミスマッチ」が深刻な日本
外資系人材紹介会社ヘイズ・スペシャリスト・リクルートメント・ジャパン(以下、ヘイズ)は、世界33か国のハイスキル労働市場における、人材の需給効率を評価・分析した調査研究「グローバル・スキル・インデックス」を実施した。これは、ヘイズが英国の調査会社オックスフォード・エコノミクスと共同で2012年から毎年行っている調査で、今年で7年目。
その結果、人材確保が容易かどうかの指標「人材ミスマッチ」において日本は10ポイント中10。世界33か国中最も人材ミスマッチが深刻という結果になった。しかも、昨年の9.9、一昨年の9.8から深刻度を増している。
「専門性の高い業界における賃金圧力」は0.2と低い数値を記録しており、専門性の高い業界の賃金上昇が、そうでない業界の賃金上昇より遅い事を意味している。この背景には、深刻な人材不足により見直しが進められたサービス産業や福祉業界の賃金引上げペースが、専門性の高い業界よりも早かったためとヘイズは分析している。
日本人は世界一「スキル不足」
また調査の結果、日本では企業が求めているスキルと、実際に求職者が持っているスキルが大きくかい離していることがあらためて浮き彫りに。これは、急速な技術の進化に、日本の人材が持つスキルが追い付いていないためで、深刻なスキル不足の背景には、日本の高等教育や、終身雇用制度における評価制度など、根深い問題があるとヘイズは指摘している。

最も人材不足が深刻なIT業界や自動車では、AI技術者やデータサイエンティスト、IoT技術者などは需要が高い一方で、企業が求めているスキルを満たした人材が不足した状況が続いている。
【調査概要】
「グローバル・スキル・インデックス」は、英ヘイズが英オックスフォード・エコノミクスと共同で2012年から継続的に行っている調査研究。労働市場に関して、
・教育の柔軟性
・労働市場への参加
・労働市場の柔軟性
・人材のミスマッチ
・全体的な賃金圧力
・専門性の高い業界における賃金圧力
・専門性の高い職業における賃金圧力
について0から10までの数値で指標化し、人材の需要と供給の状況を評価・分析している。
労働市場の均衡が最適な状態を5.0とし、0に近づくほど人材の確保が容易、10に近づくほど人材の確保が困難であることを示す。
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