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中国フィンテックに日本は追いつけるのか?
日本美食・董路×オイシックス・西井敏恭

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2019/01/07 12:00

 中国で急激に広まったキャッシュレス。アプリなしでは暮らせないと言われる中国で、なぜそうした変化が起きたのか。日本美食の董路さん、オイシックス・ラ・大地の西井敏恭さんにお話をうかがいました。

ふたりの出会い

――日本はこれまで、主にアメリカの先進的なビジネス手法を取り入れてきましたが、フィンテックにおいては中国の存在も非常に大きいと感じています。今日は、董路(ドン・ルー)さん、西井敏恭さんに、おふたりの意外な共通点からお話をうかがえればと思います。

董:僕は中国北京の出身で、1993年、20歳の時にはじめて1人で日本に来ました。日本語学校に通った後、埼玉大学の経済学部で学びながらプログラミングやインターネットの知識を身に着け、卒業後はゴールドマン・サックス(証券)に入社し、東京支店で4年間働きました。ゴールドマン・サックスには、実はエンジニアとして入ったんです。これは僕の出身大学、専攻を考えると異例なことでした。

日本美食CEO董路(ドン・ルー)氏 1972年生まれ、中国・北京出身。20歳で日本に留学し、1994年に埼玉大学経済学部に入学。同大学を卒業後、ゴールドマン・サックス証券に入社。その後、スタンフォード大学にてMBAを取得し、2004年に中国に帰国。外資系コンサル、ベンチャーキャピタルを経て、2社のベンチャーを立ち上げる。2014年に事業を売却し、日本に拠点を移す。2015年12月、日本美食株式会社を設立し、外国人観光客向けマルチ決済と飲食予約サービスを展開中。

日本美食 CEO 董路(ドン・ルー)氏 
1972年生まれ、中国・北京出身。20歳で日本に留学し、1994年に埼玉大学経済学部に入学。
同大学を卒業後、ゴールドマン・サックス証券に入社。その後、スタンフォード大学にてMBAを取得し、
2004年に中国に帰国。外資系コンサル、ベンチャーキャピタルを経て、2社のベンチャーを立ち上げる。
2014年に事業を売却し、日本に拠点を移す。2015年12月、日本美食株式会社を設立し、
外国人観光客向けマルチ決済と飲食予約サービスを展開中。

 入社後には、皆さんの記憶にも残っている大きな出来事が立て続けに起こりました。アメリカのシリコンバレーでのバブル崩壊、エンロン事件、9.11です。1998年から2002年の4年間のうち、2年間はエンジニア、後の2年はバンカーとして、マーケットがダウンしている苦しい状況を経験しました。一方、僕が入った時は未上場企業だったゴールドマン・サックスは1999年に上場したので、短い間に非常に濃い経験をしました。

 その後、スタンフォードのビジネススクールに2年間通い、世界の金融の頂点であるウォール街とテクノロジーの頂点のシリコンバレーも経験。それから中国に戻り、コンサルティングファームに入社して上海で1年勤務した後、シリコンバレーにあるベンチャーキャピタルの中国法人の社員として働きました。

西井:中国でも起業しているんですよね。

董:2006年から中国で2社、アパレルECを立ち上げました。ひとつは、男性用シャツのネット販売ベンチャー「Beyond Tailors」、もうひとつは、アメリカのヴィクトリアズ・シークレットのビジネスモデルを取り入れた女性のブラジャーのEC「蘭繆(LA MIU)」です。2007年にCCTV(中国中央電視台)の取材で、ジェフ・ベゾスと中国を代表するECのCEOとして僕が対談する機会があり、番組の中でジェフ・ベゾスがシャツを12枚注文してくれたこともありました。

 この2社を成長させ、売却した後、3社目として今の会社「日本美食」を設立しました。外国人観光客が日本に遊びに来ると当然飲食をしますよね。その際に3つの大きな悩みがあるんです。それが、「飲食店を探せない」「言葉が通じないから予約や注文ができない」「スマホ決済が使えないので支払えない」。それらを解決するために日本美食を立ち上げました。

――ここまでのお話で、本が3冊ぐらいできそうですね(笑)。

西井:そうなんですよ。だから僕は今日、何も喋ることがありません(笑)。1年ほど前に、「面白い人がいる」と紹介されて会ったのが最初です。僕もこれまで世界一周旅行に2回出かけていて本も出しているくらい旅行が好きだし、おいしいご飯も大好き。

 私のキャリアはネットECの黎明期にサイトを立ち上げて、試行錯誤しながら運営をしていたところからスタートしました。その後ドクターシーラボを経て、オイシックス・ラ・大地に入り、自分の会社で様々な会社のコンサルティングをしています。だから、董さんとは最初に会った時からすごく話が盛り上がりました。

株式会社シンクロ 代表取締役社長 / オイシックス・ラ・大地株式会社 執行役員CMT。2001年~2003年まで2年半かけて世界一周。ブログやSNSのない時代にWEBで旅行記を発信していたところ人気になり、旅行記を出版。WEBの面白さを知って、デジタルマーケティングの世界にはいる。株式会社ドクターシーラボにてデジタルマーケティングの責任者を務め、2014年、独立。国内大手企業のマーケティングアドバイザーをおこないながら、オイシックス・ラ・大地株式会社では執行役員CMTとしてサブスクリプションモデルのEC戦略を担当している。ウェブマーケティングのプロとして、メディア・講演など多数出演。出版書籍 世界一周旅行記https://www.amazon.co.jp/dp/4344420497/デジタルマーケティングhttps://www.amazon.co.jp/dp/4798153745/

シンクロ 代表取締役社長 / オイシックス・ラ・大地 執行役員CMT 西井敏恭(にしい ともやす)氏
2001年~2003年まで2年半かけて世界一周。ブログやSNSのない時代にWEBで旅行記を発信して
人気になり、旅行記を出版。WEBの面白さを知って、デジタルマーケティングの世界に入る。
ドクターシーラボにてデジタルマーケティングの責任者を務め、2014年独立。
国内大手企業のマーケティングアドバイザーを行いながら、オイシックス・ラ・大地では
執行役員CMT(チーフマーケティングテクノロジスト)としてサブスクリプションモデルの
EC戦略を担当。ウェブマーケティングのプロとしてメディア・講演など多数出演。
出版書籍 世界一周旅行記:https://www.amazon.co.jp/dp/4344420497/
デジタルマーケティング:https://www.amazon.co.jp/dp/4798153745/

 その頃は日本でまだこんなにキャッシュレスが騒がれていなかったのですが、董さんから話を聞いて「何それ?」と。董さんはいつも、「いくら口で言ってもわからない。体験しないと」と言っていたので、彼と一緒に中国に視察に行くことになりました。


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著者プロフィール

  • 井浦 薫(編集部)(イウラ カオル)

    MONEYzineのロゴ下のキャッチコピーが「投資とお金のこと、もっと身近に」に変わりました。
    これから大きく変化していくこの領域で、注目の人やサービス、テクノロジーを紹介していきたいと思います。ウェブだけでなく、MarkeZine BOOKSの書籍編集も担当しています。

  • 慎 芝賢(シン ジヒョン)

    フリーカメラマン 日本大学芸術学部写真学科卒業後、朝日新聞出版写真部勤務。
    2014年フリーカメラマンに。
    雑誌・書籍・新聞・web媒体を中心に撮影を行う。

本記事は、投資や貯蓄などマネーを活用するための情報提供を目的としており、続きを見る

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