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老人福祉事業者の倒産は過去3番目の高水準
倒産理由では利用者が集められない「販売不振」が最多

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2019/02/23 18:00

 介護保険サービス受給者が増加傾向にある中、予定していた利用者が集められず資金繰り難に陥る小規模事業者が多いことが明らかになった。

 厚生労働省が2月15日に公表した「介護保険事業状況報告の概要(平成30年11月暫定版)」によると、平成30年11月末現在の介護保険の第1号被保険者数は3,512万人で、前月比で2万人増加、前年同月比では40万人増加した。

 介護保険制度では65歳以上になると第1号被保険者となり、要介護・要支援認定を受けたときには原因を問わずに介護サービスを受けることができる。一方、40歳から64歳までは第2号被保険者となり、加齢に伴う末期がんや関節リウマチなどの特定疾病が原因で、要介護・要支援認定を受けたときにのみ介護サービスを受けることができる。

 平成30年11月末現在で要介護・要支援認定者数は657万4,000人で、前月比で1万6,000人増加、前年同月比では15万5,000人増加した。要介護・要支援認定者は第1号被保険者の約18.3%に相当し、内訳は男性が206万8,000人で女性が450万6,000人だった。高齢化が進んでおり、介護サービスを利用する人が増加にあるようだ。

 一方、帝国データバンクが2月8日に発表した「老人福祉事業者の倒産動向調査」の結果によると、2018年に発生した老人福祉事業者の負債1,000万円以上の倒産は83件で、2016年の91件、2017年の88件に次いで過去3番目の高水準となった。

 業態別では「訪問介護(居宅介護)」を主業とする事業者が34件(構成比43.6%)で最も多く、以下、「通所介護(デイサービス)」(30件・同38.5%)、「老人ホーム」(10件・同12.8%)、「高齢者専用住宅」・「グループホーム」(各2件・同2.6%)が続いた。

 負債額別では「1億円未満」が67件(構成比85.9%)で大半を占め、そのうち60件が「5,000万円未満」だった。そのほかは「1億円以上5億円未満」が10件(同12.8%)で、「5億円以上」はわずか1件だった。

 法人設立から倒産までの期間は「5年~10年未満」が31件(構成比39.7%)で最も多く、「3年~5年未満」の10件と「3年未満」の14件を合わせて、全体の70.5%が業歴10年未満だった。そのほかは、「10年~15年未満」が15件(同19.2%)、「15年~20年未満」が5件(同6.4%)で、「20年以上」は3件だった。

 倒産の主因別では、予定していた利用者が集められず資金繰り難に陥った「販売不振」が53件(構成比67.9%)で最も多かった。以下、「経営計画の失敗」の9件(同11.5%)と「放漫経営」の4件(同5.1%)が続き、「放漫経営」の中には報酬の不正請求に関与したケースもあった。

 倒産した老人福祉事業者の傾向としては、初期投資の負担が少ない訪問介護や通所介護の業態が多くを占めている。老人福祉事業は高齢化で需要が高まっているものの、小規模で実績が乏しい事業者は厳しい経営環境に置かれているようだ。

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