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「売ること」を前提に買う時代、メルペイは「売上金」というメルカリ色のお金をオープンに還流させる

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2019/02/21 17:00

 メルカリグループで決済サービス事業を展開するメルペイは、2月20日に事業戦略を発表。CtoCのフリマアプリが考える独自の金融サービスの構想を明らかにした。

メルカリの売上金で買物ができる機会を拡大

 2月20日に東京渋谷にあるヒカリエで開催された「MERPAY CONFERENCE 2019」で、フリマアプリを提供するメルカリの金融子会社メルペイが、これからどのようにフィンテックサービスを展開するのか発表された。

 メルペイが提供するスマホ決済サービスは専用アプリではなく、フリマアプリ「メルカリ」で利用することができる。その最大の特徴はメルカリを通じて行った売買で得た売上金をメルカリ内部での購入はもちろん、全国のメルペイ加盟店で利用することができる点だ。

 月間1200万人を超えるメルカリユーザーがメルカリでの取引を通じて生み出す売上金は年間約5000億円に達している。従来のように銀行口座から入金したり手持ちの現金を「チャージ」するのではなく、自分が使わなくなったものを販売して得たお金、つまり臨時収入を使えるシーンを多様化していくのがメルペイだ。

 それを可能にするのは三井住友カードとの連携によって、NTTドコモが推進する非接触決済サービス「iD」に対応したこと。これによって、コンビニ、レストラン、ドラッグストア、ファーストフード店など全国約90万か所の「iD」加盟店でメルカリの売上金を使って買物が可能になる。「iD」対応は2月13日からiOS先行でスタートし、Androidは2月末〜3月初旬に対応する予定だ。

 iD対応に続いて、3月中旬にはJCBと組んでコード決済を可能にする。また「au PAY」を提供するKDDIとは、スマホ決済サービスが使える店舗の開拓を連携して行い、主に中小店舗を中心にコード決済手段として「メルペイ」「au PAY」の両方を提案していく。これらiD決済とコード決済で全国135万か所でメルペイが利用可能になる。

「メルカリ色のお金」はただのお金ではない

 一方、メルペイを利用できる加盟店にとって導入のメリットは何か。メルペイは導入の初期費用、固定費用がゼロ円、決済手数料は1.5%と低い水準になっている。しかし、新しい決済手段が乱立する中、それだけではなかなか響かないだろう。

 ここでメルカリのデータが大きな意味を持つ。メルカリの売上金を保有している人はどこに、どれだけいるのか。アクティブなユーザーはどこにいるのか。どの年代の人がどのくらいの売上金を持ち、どんな商品を日々売買し、どんな商品に興味があるのかなどなど、プライバシーに配慮した統計データを用いることで、どのエリアのどの商品を扱う加盟店で売上金が使われる可能性があるかを予測することができる。

 今回のカンファレンスでメルペイ執行役員の山本真人氏は「わくわくした気持ちで使える、色のついたお金」と述べた。手間暇かけて売ったアイテムの売上金、臨時収入といううれしいお金だからこそ「使っちゃおうかな」という気持ちもわいてくる。

 「メルカリ色のお金」がどこにどれだけあるのか。これがメルペイの金融サービスの特徴であり、キャッシュレス化によってお金をデータ化することで、フラグを立てたり、セグメント化して分析することが可能になる。ただのお金ではなく、感情やモチベーション、興味関心も含めて観察できるデータは付加価値がある。

 また、メルペイは全国60行以上の銀行と口座連携を予定。メルカリの売上金を持っていない人も自身の銀行口座からメルペイに直接チャージして利用することも可能になる。これによって、メルカリの売上金の枠内でしか買物できない不便さを解消することができる。

一次流通と二次流通でオープンなお金の流れを生み出す

 メルカリ代表取締役会長兼CEOの山田進太郎氏は、これまでメルカリは二次流通に限定されていたが、メルカリの売上がメルペイを通じてさまざまな店舗での支払いに使えるようにすることで、一時流通と二次流通の流れを変えると説明。個人情報に配慮しつつ、メルカリとメルペイのデータをもとに、送客やマーケティング商品開発向けに情報提供していくことで、個人だけでなく企業もエンパワメントしていくと解説する。

 物があふれる時代、一度は自分のものにしたけれど、もう使わないと判断したらそれを手軽に売ってお金に換えることができる。そこからまた新たな購買の機会、モチベーションが生まれる。

 「貯蓄から資産形成へ」と言われるように、貯めることに意識が向かいがちな日本人。売上金の使いみちは人それぞれだが、メルペイはより使いやすい方向へ、お金が動いていく方向へと環境を整備しているように見える。

メルペイ流の信用サービスも

 近年、プラットフォーマーとして新しい金融サービスに乗り出す企業は、必ずと言っていいほど信用スコアリングサービスを構築し、個人融資などに活用している。メルペイの場合もメルカリのプラットフォームでのユーザー行動をもとに評価を行い、「新たな信用」を創造すると発表した。

 メルカリでは、品物をしっかり期日までに送付したり、支払いをきちんと行うといった良い行動の積み重ねが評価され、信用を形成していく。

 メルペイが目指すのは、手もとにお金がなくても、やりたいことができるサービス。そのひとつが、すでに提供している「メルカリ月イチ払い」。これはお金がなくても、メルカリで後払いで買物ができるというサービスだが、今後は「メルペイあと払い」としてリニューアルし、メルペイだけでなく加盟店も利用可能にする。

オープン戦略でユーザーと加盟店の負担を軽減

 メルペイ代表取締役の青柳直樹氏は、キャッシュレス化の推進は民間企業に委ねられており、利用者や加盟店を取り残して規格が乱立し、ポイントをばらまきで終わってしまうとしたら、それが日本のキャッシュレスのワーストシナリオだと語った。

(左から)メルカリ代表取締役会長兼CEO 山田進太郎氏、メルペイ代表取締役 青柳直樹氏、メルペイ執行役員VP of BusinessDevelopment and Sales 山本真人氏

(左から)メルカリ代表取締役会長兼CEO 山田進太郎氏、メルペイ代表取締役 青柳直樹氏、
メルペイ執行役員VP of BusinessDevelopment and Sales 山本真人氏

 メルペイは独自規格にこだわるよりも、さまざまなパートナーとオープンに連携することを選んだ。パートナーが持つ資産やネットワークを活用し、新たな価値を加え、相互に送客する。サービスを導入する店舗の負担を増やしたり、利用者の選択肢をむやみに増やすのではなく、オープン戦略によって時間と労力をかけずに普及を加速していく。

 メルカリの売上金がメルカリ内部で還流するよう限定するよりも、外部の店舗で使えるようにする。これもオープン戦略のひとつ。また、キャッシュレス化については地方自治体とも連携。神奈川県、鎌倉市、岐阜市、神戸市、仙台市、千葉市、福岡市、箕面市とそれぞれの地域の特性にあわせて、リサイクル、起業家支援、国家戦略特区などのテーマを設けてプロジェクトを推進し、キャッシュレスを切り口に地域の課題に取り組む。

 「本当に意味のあるキャッシュレス化」とは何か。使える、使われる決済サービスを目指すメルペイは、独自路線で新たなサービスを開拓していく。

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