やりたいことを実現するための「人生設計」を考える
これまでの日本では、終身雇用を前提にひとつの会社で働き続けるという生き方が主流となっていました。でも、人生が100年という長期にわたるものとなった現在、キャリアの選び方や生き方の選択肢は広がっています。
大企業ではなくスタートアップを選ぶ若者が増えていたり、副業ならぬ「複業」や、経済的な自立を確立して早期にリタイアする「FIRE(Financial Independence Retire Early)」ムーブメントなど、新しい仕事観・人生観が提起され始めています。人生において自分自身がやりたいことを実現するためには、どんなことを意識していればいいでしょうか。

今回は、働く世代の資産運用を応援するロボアドバイザーを提供しているウェルスナビ代表の柴山和久さんに、人生の選択肢を広げるようなお金の考え方について説明していただきます!
1杯のコーヒーを夫婦で分け合ったことも
こんにちは、ウェルスナビの柴山です。「人生100年時代」と言われる今、こんなに長い時間をどのように生きていけばよいのか、考える機会が増えているように感じます。もはやひとつの会社に入社し、退職まで勤め上げるのがまっとうな社会人という価値観は薄れ、若い世代では転職が当たり前になっています。
私が経営する資産運用のスタートアップ「ウェルスナビ」のメンバーも、ITや金融など、多種多様なバックグラウンドをもつメンバーから構成されています。彼らの多くは「いつかフィンテックの会社で働くことになる」とは思っていなかったと思います。
私自身は新卒で財務省に入ったあと、マッキンゼーに転職し、退職後にフィンテックで起業するためにプログラミングの学校に通うなど、それこそ行き当たりばったりと言われても仕方のない人生を歩んできました。
そんな私が、お金との付き合い方について考えるようになったのは、それまで働いてきた環境や自分自身の経験によるところが大きいと思います。財務省では金融や財政政策に関わり、マッキンゼーでは日米の金融機関をサポートしました。財務省やマッキンゼーで扱ったお金は、ときに数千億円や数兆円という単位でした。
しかし実生活では、仕事がないときには貯金が8万円まで落ち込んで1杯のコーヒーを夫婦でシェアしていました。そうかと思えば、マッキンゼーのニューヨーク時代にはファーストクラスでの出張が当たり前という華やかな暮らしを経験しました。
お金があったりなかったり、ジェットコースターのように変わる環境に身を置いたことで、私はお金の存在意義について真剣に考える必要に迫られたのです。