MONEYzine(マネージン)

テーマ別に探す

ビール4社の業績はM&Aで明暗、海外ライバル企業の売上規模に迫れるか?

  • ブックマーク
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 ビール4社の経営が堅調に推移している。特にサントリーホールディングスとアサヒグループホールディングスは、海外企業の買収効果が明らかだ。今期の増収を見込む4社の、主な経営指標と従業員平均年間給与をチェックしてみよう。

PB、クラフトビールで変わるビール市場

 ビール市場では、コンビニやスーパーなどから委託を受けて製造するプライベートブランド製品が普及。小規模生産のクラフトビールの人気も高まりつつあるようだ。そのため業界団体「ビール酒造組合」によるビールのシェア公表は、2018年が最後になるという。

ⒸiStock/kone

ⒸiStock/kone

 2018年のビールシェアは、トップのアサヒグループホールディングス(HD/2502)が37.4%。以下、キリンHD(2503)34.4%、サントリーHD16.0%、サッポロHD(2501)11.4%。米投資ファンドなどの投資を受けた沖縄のオリオンビールは1%以下である。若年層のアルコール離れもあって、国内ビールの出荷量は減少続きという逆風を受ける。ビール各社はそれらの課題を克服し、成長を実現しているのだろうか。

 2018年の売上高が2017年比で伸びたのはサントリーHD(以下、サントリー)とアサヒグループHD(以下、アサヒ)、キリンHD(以下、キリン)の3社。サッポロHD(以下、サッポロ)は減収だった。当期純利益(親会社の所有者に帰属)は、アサヒとサッポロが増額、サン トリーとキリンは減額である。企業がスタートしてからの利益の蓄積を示す「利益剰余金(内部留保)」は、4社とも積み増しでの推移だ。

 

 10年前の2008年の売上高とも比較しておこう。サントリーが66.3%増、アサヒが44.9%増、サッポロが25.8%増である。2008年の売上高が2兆3035億円と4社中トップだったキリンはその後、1兆円台に転落。今期は2兆円台への復帰を見込む。

M&Aの巧拙が業績に影響

  売上高の増減は、海外M&A(企業の買収・合併)の巧拙によるところが大きい。サントリーは、バーボンを主力とする米国ビーム(現ビーム サントリー)が売上増に貢献。2014年に1.6兆円を投じて買収した。

 アサヒの成長エンジンは欧州事業である。同社は2016年以降、およそ1.2兆円でイタリアやオランダ、英国、チェコなどにおけるビール事業を取得。企業規模に劣るサッポロも、カナダのビール会社の買収を手がけている。

 キリンは、地元企業を買収して進出したブラジル事業の失敗による影響が大きい。最終的に撤退を余儀なくされた。ただし、新たにミャンマー市場を開拓中である。

 4社の中では唯一、「税引前利益」が「営業利益」を上回っているのもキリンの特長だ。税引前利益は本業による儲けを示す営業利益に、受取配当金や支払利息などの金融収支を加減して求める。海外M&Aの失敗で痛んでいた財務を立て直し、以前のような良好な財務状況を取り戻していることを示す。関連会社であるフィリピンのサンミゲルビールの利益貢献も大きい。一時期は5000億円台に落ち込んだ利益剰余金も回復、さらなる上積みをめざしたいところだろう。


  • ブックマーク
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

著者プロフィール

本記事は、投資や貯蓄などマネーを活用するための情報提供を目的としており、続きを見る

All contents copyright © 2007-2019 Shoeisha Co., Ltd. All rights reserved. ver.1.5