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資産運用でもサブスクリプションが登場、アドバイスは「対面」から「AI」へ

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瀧 俊雄[著] / 慎 芝賢[写]
2019/05/29 12:00

 「金融商品を本当に理解して買っている人はいない」と、マネーフォワードFintech研究所長の瀧さんは言います。だからこそ人は何かに頼りたくなるもの。いま生まれている新しい資産運用サービスの動きを解説します。

金融商品を本当に理解して買っている人はいない

 金融商品というのは、とかくわかりにくいもの。投資経験のない日本人の投資に対するスタンスというのは、おそらく「今は投資信託などを持ってはいないが、今年こそやろうと思っている。今までやらなかった理由は、投資について考えたことがなかったから」というものだと思います。そして多くの人が、投資ってなんとなく怖いとか、経済ニュースを毎日チェックしたりして勉強しないといけないのは面倒だなという感覚を持っている。

マネーフォワードFintech研究所長 瀧 俊雄さん
マネーフォワードFintech研究所長 瀧 俊雄さん

 それと比べると、家を買うときのほうがまだわかりやすい。マンションを探している人は、いろんなサイトやDMを見たりして、何平米くらいの広さがあって、相場がこれぐらいという情報や、立地、ブランド、広さ、方角、あるいはスーパーが近くにあるといった使い勝手の良さをイメージして、この5000万円のマンションがいいかなと絞り込んでいきます。

 けれど、同じ5000万円分を投資信託に投資しなければならないとき、その商品が自分に向いているかというのは、たぶん最後までわからないのでは?と思います。

 日本で最も売れている投資信託は、たとえばモーニングスターのランキングを見ればわかります。現時点(2019年4月8日)で、日本でいちばん残高がある投資信託として、米国最大の運用会社であるフィデリティが運用している「フィデリティ・USリートB(H無)」があります(※)。米国の不動産に投資しているファンドで、信託報酬は1.5%くらいです。もし、1000万円分これを買ったら毎年15万円、運用手数料として支払うことになります。その代わり、過去10年間で見ると年率が16.2%。10年前に1000万円で買った人は2000万円以上増えているかもしれません。

※モーニングスターの以下のファンドランキング「純資産(時点)」タブを参照しました。
http://www.morningstar.co.jp/fund_spn/index_spn.html

 こんなにいい成績を出しているファンドがあるのに、なぜ世の中の人は全部このファンドに投資しないのでしょうか。日本の個人金融資産1800兆円を全部預けたら、毎年300兆円の収入が入る。そのうち半分を税金が持っていっても、日本は石油産出国みたいになれるはずです。

 それをしない理由のひとつに、商品を買う側の不安があります。おそらく私が1時間くらいていねいに投資信託の仕組みを説明しても、「1個しか選べない」という状況があるとしたら不安というのは残るわけです。「モーニングスターの星5つのファンドだけ買えばいいじゃないか」といった判断もあり得ますが、結局のところ良し悪しはわからないし、不安というのは絶対残る。

 一方、分散投資というのは「ひとつのカゴにすべての卵を盛るな」という話ですが、投資信託の「株式3割、債券2割」といった割合はどうやって決められているのでしょうか。

 資産運用というのはほとんどインデックスでもいいはずで、その成果の95%はアセットアロケーションと呼ばれる、どこにどれだけ投資するかの割合を決めることにかかっています。その投資割合を算出するときは、株や債券の間の相関係数を並べて、リスクの大きさなどに対して、行列式で数式を求めていく。その行列式の計算から、それぞれの資産の投資割合が判明していくイメージです。行列式は、経済学部の学生の多くが脱落する難解な代物ですが、これは魔法でもなんでもありません。「リスクが大きいものは少なめで、リスクが似ているものも少なめで」ということを言っているにすぎないのです。

 でも、そのからくりを厳密に理解しないと、結局のところ、投資信託の良さは腹落ちしないはず。だからそれを加味して考えると、多くの人は全部を理解したうえでは投資していないと言えると思います。


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著者プロフィール

  • 瀧 俊雄(タキ トシオ)

    マネーフォワード 取締役執行役員、マネーフォワード Fintech 研究所長
    2004年、慶應義塾大学経済学部を卒業後、野村證券株式会社に入社。株式会社野村資本市場研究所にて、家計行動、年金制度、金融機関ビジネスモデル等の研究業務に従事。スタンフォード大学MBA、野村ホールディングス株式会社の企画部門を経て、2012年より株式会社マネーフォワードの設立に参画。経済産業省「産業・金融・IT融合に関する研究会」に参加。金融庁「フィンテック・ベンチャーに関する有識者会議」メンバー。
  • 慎 芝賢(シン ジヒョン)

    フリーカメラマン 日本大学芸術学部写真学科卒業後、朝日新聞出版写真部勤務。
    2014年フリーカメラマンに。
    雑誌・書籍・新聞・web媒体を中心に撮影を行う。

本記事は、投資や貯蓄などマネーを活用するための情報提供を目的としており、続きを見る

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