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老後の生活費の不足分は30年で2000万円に、金融庁がまとめた日本人のお金の危機的状況

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2019/06/07 08:00

 終身雇用、年金制度など、日本人の生活を支えてきた構造が機能不全となりつつある状況の中で、金融庁は高齢化社会における資産形成・管理についての報告書を発表した。

日本社会で起きている環境の変化

 金融庁は6月3日、金融審議会の市場ワーキング・グループ報告書(案)として「高齢社会における資産形成・管理」を公開した。この報告書は、高齢化社会を取り巻く環境の変化を整理し、それらに対応するための基本的な視点や考え方、個々人がとりうる対応を示唆している。そのポイントをいくつか見ていこう。

 人口動態については、「長寿化」「単身世帯等の増加」「認知症の人の増加」を挙げている。人口ピラミッドでは、かつての富士山のような形から、つぼ状に変化。高齢者が若年者にくらべて突出して多くなることが予測される。

 ライフスタイルの多様化によって、単身世帯も急増していることから、持ち家比率も60歳未満は低下が著しい。こうした背景もあり、老後の親の世話は子どもが見るというようなかつてのモデル世帯は空洞化してきている。

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ⒸAdobe Stock/Levente Janos

 個人の金融資産の大半を高齢者が保有している現状があるため、認知症の人の増加は金融サービスに大きな影響を与える。加齢とともに、認知や判断力が定価してくると、資産の管理や運用などに一定の制限が必要になりうるからだ。成年後見制度の利用増加にともない、同制度の枠組みに入る金融資産が大きく増加することが予想され、これらの管理も課題となる。

収入が不足する部分をどう補うのか

 収入・支出については、年齢層別に見ても、時系列で見ても、高齢の世界を含む各世代の収入は全体的に低下傾向となっている。支出もほぼ収入と連動しており、過去と比較して大きく伸びていない。60代以上の支出では、現役期とくらべて2~3割程度減少しており、時系列で見ても同様となっている。

 収入が年金給付に移行するなどして減少している高齢夫婦無職世帯の平均的な姿は、毎月の赤字額が約5万円。この金額は、自身が保有する金融資産から補填することになる。

※図をクリックすると拡大します。

 しかし退職金の給付状況を見ると、退職金給付制度がある企業の全体の割合は、徐々に低下。2018年で約80%となっており、この割合は企業規模が小さくなるにつれて小さくなる。また、定年退職者の退職金給付額を見ると、平均で1700万円~2000万円程度となっており、ピーク時から約3~4割ほど減少している。

 老後の生活で年金収入などで足りない部分は、保有する金融資産から取り崩していくことになるが、65歳時点における金融資産の平均保有状況は、夫婦世帯で2252万円、単身男性で1552万円、単身女性で1506万円。しかし住宅ローンなどの負債を抱えている場合は、ネット(正味)の金融資産で見ることが重要になる。

 仮に高齢夫婦無職世帯で毎月の約5万円が不足する場合、その穴埋めには20年で約1300万円、30年で約2000万円の取り崩しが必要になる。ただし支出については、特別な支出、たとえば老人ホームなどの介護費用や住宅リフォーム費用などを含んでいない。もし、自分の金融資産を相続させたい意向があれば、その分の資産も必要になる。

「見える化」とライフプラン

 こうした状況を踏まえて報告書(案)では、早い時期から生涯の老後のライフ・マネープランを検討し、老後の資産取り崩しなどの具体的なシミュレーションを行っていくことが重要だと指摘している。

 先ほども触れたが、金融資産の保有における全体的な傾向として、若年層よりもシニア層のほうが全体に占める金融資産の保有割合が高く、若年層は住宅ローンなどの負債を比較的多く抱えている。

 今回あわせて公開された資料では、以下のような「ライフステージに応じて発生する費用等の例」を図解している。「現役期」「リタイヤ期前後」「高齢期」の3つに分けてライフステージと資産額の推移を図示している。

※図をクリックすると拡大します。

 金融庁は、これまでの標準的なライフプランが今後はほとんどあてはまらないかもしれないと指摘。自分自身の状況を「見える化」したうえで、自らの望む生活水準に照らして必要となる資産や収入が足りないのであれば、就労継続の模索、支出の再点検・削減、保有する資産を活用した資産形成・運用などの「自助」の充実を行う必要があるとしている。

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