これからの日本とフィンテック
これからの日本は、超少子高齢化、年金制度の崩壊をはじめ、非常に厳しい状況と向き合っていかなければなりません。そこでキャッシュレス化や新しい金融サービスができることはたくさんあると思っています。今回は、マネーフォワードの事業を俯瞰しながら、これから私たちがやろうとしていることをあらためて整理してみたいと思います。

マネーフォワードの現在の事業ドメインは、以下のように4つに分類することができます。左から、「法人/個人事業主(マネーフォワード Business)」「個人/家庭(マネーフォワード Home)」「金融機関/事業会社(マネーフォワード Finance)」そして「技術・インフラ(マネーフォワード X)」。私たちは主にこの4つのドメインでビジネスをしています。
「法人/個人事業主」については、バックオフィスのソフト、たとえば会計、請求書、給与計算などのクラウドサービスがあります。「個人/家庭」については、家計簿ソフト、貯金アプリ、クーポンアプリなどのサービスがあります。「金融機関/事業会社」向けには、顧客との接点になるフロントエンドのアプリを提供しています。「技術・インフラ」は、金融に関わるさまざまなテクノロジーやプラットフォームなどですね。
これが現時点での状況ですが、さらに中期、長期で考えるとどのように変わっていくのか。「○年後にこうなる」と言うのは難しいところですが、仮に中期を2020~2025年ぐらいまで、長期を2026~2050年くらいまでとしてみましょう。将来的には「法人/個人事業主」の領域で、ほとんどのバックオフィス業務は、かなり自動化されてくると思います。
会社のお金をバランスシートで見たとき、資産、負債、資本というように分かれます。これをビジネス的な展開で紐解くと、バランスシートの左側は「顧客の数」×「顧客当たりの付加価値」と言い換えることができます。一方、右側は、会社が借りたお金や投資してもらったお金などを表しています。

それぞれのお金には関連する部署があります。たとえば、借りてきたお金を不正に使ったりしないように経理部があります。社員がちゃんと働いているかというのも、最終的には企業価値の計算などに入ってくるので、図の右側、負債側のための仕事というのがバックオフィスに占める割合は大きいです。また、資本のところも、株主の価値の最大化のためにガバナンスをきかせていくための仕事があります。一方、顧客との接点を持つフロントオフィスでは、商品やサービスを作ったり、営業活動をしています。
企業の価値というのは、バックオフィスがしっかり機能しないために損なわれることがある。でも、バックオフィスがどれだけがんばっても、お客さんに提供する付加価値というのは直接は高くならないのです。日本は人口が減ってきているため、これから多くの会社では、バックオフィスの業務に従事している人を、フロントのほうに連れてきて、お客さんのためにもっと役に立つ将来の商品やサービスを考えてもらう必要があります。
