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企業の景況感が製造業を中心に悪化、上場企業の希望・早期退職者募集が前年上回る

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2019/08/03 11:00

 日銀の発表によると、企業の景況感に悪化の傾向が見られる。そんな中、上場企業は希望・早期退職者募集に動き出しているようだ。

 日銀は7月1日、6月の全国企業短期経済観測調査(短観)の結果を発表した。日銀短観は毎年四半期ごとに実施されている調査で、景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を差し引いて、企業の景況感を示す「業況判断DI」を算出している。業況判断DIの値が大きいほど、景況感が良いと考える企業が多いことを示す。6月調査の回答期間は5月28日から6月28日で、調査対象企業数は9,770社。

 6月の業況判断DIは、全産業の全規模合計がプラス10で前回の3月調査から2ポイント悪化、先行きについてはプラス4で今回調査から6ポイントの悪化となる。

 業態・企業規模別の業況判断DIは、製造業では、大企業(資本金10億円以上)がプラス7で3月調査から5ポイント悪化、中堅企業(資本金1億円以上10億円未満)がプラス5で2ポイント悪化、中小企業(資本金2,000万円以上1億円未満)がマイナス1で7ポイント悪化した。非製造業では、大企業がプラス23で同2ポイント改善、中堅企業がプラス18で同変わらず、中小企業がプラス10で2ポイント悪化した。米中貿易戦争の影響が懸念される中、企業規模が小さい製造業を中心に、企業の景況感は悪化しているようだ。

 一方、東京商工リサーチは7月18日、「2019年上半期(1月~6月)上場企業 早期・希望退職実施状況調査」の結果を発表した。調査は1月から6月の間に希望・早期退職者募集の実施を情報開示し、具体的な内容を確認できた上場企業を対象にした。希望・早期退職者の募集予定を発表したものの実施に至っていない企業や、上場企業の未上場子会社のみのケースは除外した。

 2019年上半期に希望・早期退職者の募集実施を公表したのは17社で、昨年1年間(2018年1月~12月)の実施企業数の12社を上回った。業種別では、業績不振が目立つ電気機器が5社で最も多く、薬価引き下げや国外メーカーのライセンス販売終了などを控えた製薬が4社で続いた。

 希望・早期退職の募集人数は8,178人(判明分)となり、2018年の年間募集人数4,126人の約2倍に増加した。募集人数が最も多かったのは富士通の2,850人で、2018年に最も多かった日本電気(NEC)の2,170人を大きく上回った。また、経営再建中のジャパンディスプレイ(JDI)の1,200人や、子会社の売却や事業の選択・集中を進める東芝が1,060人で続き、2018年の1年間に1社だった1,000人超の募集がすでに3社出ている。年齢条件付での募集では、45歳以上が10社で最も多かったものの、40歳以上が2社、35歳以上も1社あり、募集年齢の若齢化も目立った。

 希望・早期退職者の募集を実施した17社の業績は、直近決算で最終赤字が6社、減収減益が4社で、業績不振を要因とする募集が大半を占めた。しかし、アステラス製薬や中外製薬、カシオ計算機など業績堅調な企業も実施しており、先行きを見据えた「先行型」の募集も目立った。

 企業の景況感が悪化する中、業績不振企業だけでなく、先行きを見越して希望・早期退職者に動き出す企業が増えているようだ。

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