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後でもめない相続の基本、ベンリになった遺言制度と「家族の気持ち」

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2019/10/22 12:00

 遺言はお金持ちがするものと思っていると、いざ相続が発生したときに親族の間の争いに巻き込まれることがあります。今回は遺言の基礎知識と、相続法の改正によってベンリになっていく遺言の手続きについて説明します。

遺言が必要なのは富裕層だけではない

 株式会社ウェルスパートナー代表取締役の世古口です。プライベートバンカーとして顧客の資産運用や相続のサポートをしてきた経験を活かして、この連載では多くの方に知ってほしい相続についての基礎知識を解説しています。

 今回のテーマは「遺言」です。皆さんは遺言にどんなイメージをお持ちでしょうか。一般的には「たくさん財産がある富裕層が遺族のために書くもの」で、自分には関係がないと思っているのではないでしょうか。

 実はそんなことはありません。遺言は一般的な保有資産の方にも必要なツールなのです。その理由は前回の記事でも紹介したように、日本人の保有資産は不動産が多いというのがひとつあります。けれど遺言を書くなんて「難しそう」「費用がかかりそう」と考えている方も多いでしょう。

 今回はあらためて、遺言の基礎知識を開設し、遺言の必要性や遺言がなかった場合の手続きや事例など紹介させていただきます。

遺言がなかった場合はどうなるの?

 まずは、遺言がなかった場合の相続の手続きについて説明します。亡くなった方が遺言を残さなかった場合は、残された家族(相続人)で「遺産分割協議」を行います。

 遺産分割協議とは相続人どうしで、誰がどの資産を承継するかを決める話し合いになります。大抵の場合は「法定相続分」に従い、銀行預金や株や債券などの証券、不動産などを誰が何を承継するかを話し合って決定することになります。法定相続分は平たくいうと、法律で決められた各相続人の遺産の取り分です。配偶者と子供2人の場合、配偶者は1/2、子供はそれぞれ1/4ずつ受け取るという具合です。

 しかし、遺産分割協議が法定相続分に従ってスムーズに進むかというと、残念ながらそうならないケースもあります。家族とはいえ、それぞれ考えも経済状況も異なる人間どうし。特に家族が亡くなったばかりでの話し合いになるので、時に感情的になり、なかなか協議がまとまらないことも多いのです。

 では、まとまらなければどうなるのかというと「遺産分割調停」に持ち込まれます。これは裁判所が仲立ちし、双方の意見を聞いて適正な資産承継の配分を決める助言をし、関係者が話し合って配分を決めていく協議です。

 そして調停でも決まらなければ、最後は裁判所に配分を決定してもらう「遺産分割審判」に移行します。調停から審判に進んだ場合は「相続争い」と言える状況だと思います。

 相続争いの大変さは感情面・精神面の負担も大きいですが、解決にかかる時間の長さも無視できません。調停と審判を合わせると平均で1年弱、長いケースだと3年以上かかることもあるからです。


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著者プロフィール

  • 世古口 俊介(セコグチ シュンスケ)

    世古口俊介
    株式会社ウェルス・パートナー代表取締役

    1982年10月生まれ。大学卒業後、2005年4月に日興コーディアル証券(現・SMBC日興証券)に新卒で入社し、プライベート・バンキング本部にて富裕層向けの証券営業に従事。その後、三菱UFJメリルリンチPB証券(現・三菱UFJモルガンスタンレーPB証券)を経て2009年8月、クレディ・スイス銀行(兼クレディ・スイス証券)のプライベートバンキング本部の立ち上げに参画し、プライベートバンカーとして同社の成長に貢献。同社同部門のプライベートバンカーとして、最年少でヴァイス・プレジデントに昇格、2016年5月に退職。2016年10月に株式会社ウェルス・パートナーを設立し、代表に就任。富裕層や事業オーナー向けに資産配分と資産運用設計の最適化コンサルティングを提案。

     

    ウェルス・パートナー ホームページ
    https://wealth-partner-re.com/

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