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出版社・書店・取次すべてで売上減、人手不足で発売日に納品が間に合わない地域も

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2019/10/03 10:00

 出版業界は、出版社・書店・取次の3業態すべての売上が減少。その中で各社は生き残りに向けてさまざまな取り組みを行っている。

 「出版不況」と言われて久しいが、全国出版協会が今年1月に発表した2018年の出版市場規模(推定販売金額)によると、2018年(1月~12月期累計)の紙の出版物(書籍・雑誌合計)の推定販売金額は1兆2,921億円で、前年比5.7%減と14年連続のマイナスとなっている。特に、雑誌は5,930億円(前年比9.4%減)で21年連続の前年割れと厳しい状況が続いている。

 ただし、紙と電子を合わせた市場規模(推定販売金額)は前年比3.2%減の1兆5,400億円。2018年の電子出版市場は、前年比11.9%増の2,479億円で、電子コミックが同14.8%増の1,965億円、電子書籍(文字もの)が同10.7%増の321億円、電子雑誌が同9.8%減の193億円となっている

 一方、帝国データバンクは9月26日、出版関連業者の経営実態調査の結果を発表した。帝国データバンクは、2019年9月時点での出版社、出版取次、書店経営を主業とする企業4,734社を抽出して「出版関連業者」と定義。売上高合計、企業実態などを分析した。前回調査は2016年11月。

 このレポートにおける「出版関連業者」とは「出版社」「出版取次」「書店経営」の3業態を指す。「出版社」については新聞社を除き、「書店経営」は中古書店やネット販売も扱う業者を含めている。調査によると、2018年度の国内の出版関連業者の売上高合計は、出版社、出版取次、書店経営業者すべての業種で減少していることが判明した。

 上の表は、2008年度および2013年度から2018年度まで売上高が判明した出版関連業者3,740社の総売上高をまとめたもので、2018年度は全業種で前年度比減少となっている。このうち、出版社は1兆6,036億4,700万円(前年度比0.2%減)で2年連続の減少、出版取次は1兆5,195億3,200万円(同4.3%減)で5年連続の減収となり、出版取次業者の特に厳しい業況がうかがえる。

 また、書店経営は1兆652億6,000万円(同1.3%減)となり、3年連続で減収。業界全体として10年前の2008年度比で見ると減少率は2ケタを超え、出版取次では20%以上となった。

 以下は出版社、出版取次、書店経営それぞれの主要5社における、2017年度と2018年度の売上高をまとめたもの(業績数値はすべて単体)。出版取次の数字が特に厳しいものとなっている。

 出版関連業者4,734社を都道府県別に見ると、全業種で「東京都」が最多となり、全体でみると2位「大阪府」の8倍以上。北海道では今年5月以降、「喜久屋書店 BOOK JAM」の店舗名で書店経営をしていたBOOK JAM K&S(千歳市)や戦後まもなく創業したなにわ書房(登記面=札幌市西区) など著名な書店が倒産したほか、中小規模の書店の廃業や閉鎖が相次いでいる。

 こうした中、日本出版取次協会は今年3月、人手不足などの物流面の影響によって中国・九州地方での雑誌・書籍の販売が発売日より1日遅れると発表している。

 出版社ではデジタル分野の販促強化で雑誌の落ち込みをカバーした企業、出版取次では教科書の一部改定や道徳の授業の教科書化における学習商材の販売数の増加した企業、書店経営では店舗のスクラップアンドビルドを進め、店舗を書籍・雑誌以外の雑貨や文房具など多角的に店舗を展開した企業などが見られた。

 しかし、今年6月には書店経営大手の文教堂グループホールディングスと100%子会社の文教堂が私的整理である事業再生ADRを申請。一方で、入場料を取る書店、日本出版販売とトーハンの物流協業化による業務の効率化、アマゾンジャパンの買い切り方式導入など、業界それぞれの変革も注目されている。

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