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アニメ制作会社の売上は2000億円超で過去最高も、3割が赤字で格差拡大

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2019/10/12 11:00

 アニメ制作企業の2018年の収入高は2,131億7,300万円で、2年連続で2,000億円の大台に乗った。しかし、赤字企業の割合も過去10年で最も高い水準となった。

 政府が提唱している「クールジャパン」は、日本のカッコいい・かわいいファッションやマンガ・アニメ、ゲーム、食べもの、おもてなしなど、外国人が魅力を感じる日本固有の文化の総称で、積極的に情報発信することで商品・サービスの海外展開やインバウンド消費拡大などを目指している。

 中でも期待されているコンテンツのひとつが日本のアニメだ。多くのアニメファンが、作品の中に登場する地域やスポットを訪れるのを楽しみにしており、各地でさまざまな取り組みが行われている。

 たとえば、愛知県名古屋市はクールジャパンを活かした地域づくりを目指し、コスプレやアニメを名古屋のブランド力を高める新たな文化として発信するため、「世界コスプレサミット2019」を7月27日~8月4日に開催。世界40か国・地域のコスプレイヤーが名古屋に集まり、オアシス21や大須商店街など名古屋市中区中心に各所でイベントが開催された。名古屋市はその後もコスプレの聖地となるため、イベントの実施やアニメツーリズム推進を図っている。

 8月1日にはクールジャパン機構が、北米での日本アニメ作品の流通拡大を目指し、独立系ライセンス事業へ出資したことを発表。出資額は約32億円で、ニッチマーケット向けの日本アニメ作品のライセンス事業を展開する「Sentai Holdings LLC」の株式を取得した。これによって、単独で海外進出が困難な版権元の安定的な北米事業展開をサポートし、北米市場における日本アニメのプレゼンス向上と関連グッズの輸出拡大をサポートする。

 そんな中、帝国データバンクは9月25日に「アニメ制作業界動向調査 2019年」を発表した。同社が所有する企業概要データベースに7月時点で収録されている企業のうち、アニメ制作を主業とする企業256社を抽出して集計・分析を行ったもの。

 アニメ制作企業の2018年(1月期~12月期決算)の収入高(売上高)合計は2,131億7,300万円で、はじめて2,000億円を突破した2017年を上回り、2011年以降8年連続で前年を上回って過去最高を更新した。

 2018年の1社当たり平均収入高は前年比8.1%増の8億4,300万円で、2年連続して前年を上回り、ピークとなった2007年の9億9,200万円の8割超の水準まで上昇。業界全体でアニメーターなどの人材不足や外注費の高騰が続いたものの、制作量を相応に確保できたことから大手制作企業を中心に業績回復が続き、全体の底上げにつながった。

 2018年の収入高動向は「増収」が34.1%、「横ばい」が42.7%、「減収」が23.2%で、「増収」が2年ぶりに前年を下回ったものの、「減収」も29.7%だった2016年からは2年連続で減少している。2018年の損益動向は「増益」が48.5%、「減益」が49.5%で拮抗した。「横ばい」は2.0%。また、最終損益で「赤字」となったのは30.4%で、3年ぶりに増加に転じた。

 また、直近の赤字企業の割合は2015年をピークに減少傾向が続いていたが、2018年は過去10年間で最も高い水準となった。

 今後も日本アニメの人気を背景に、国内アニメ制作業界は堅調に推移すると同社は見ている。しかし、国内ではアニメーターの不足感が高まるなど課題が残されているほか、収入高が拡大する中で赤字企業の割合も上昇しており、企業間では収益力の格差が広がる可能性がありそうだ。

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