MONEYzine(マネージン)

テーマ別に探す

全固体電池市場、2035年には2兆6772億円に拡大、進む量産化

  • ブックマーク
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
2019/11/09 11:00

 2018年の全固体電池市場は24億円にとどまっていたが、2035年には2兆6,772億円に拡大すると予測されている。

 株式会社富士経済は5月から7月にかけて全固体型リチウム二次電池(以下、全固体電池)の市場を調査し、その結果を「2019 電池関連市場実態総調査 次世代電池編」にまとめ、10月28日に発表した。

 全固体電池は、電流を発生させるために必要な「電解質」を液体ではなく固体にした電池。電解質が液体だと液もれの可能性があるほか、有機溶媒が使われているリチウムイオン電池では、衝撃が加わると発火・爆発の危険性がある。固体の場合は液もれや発火などのリスクがなくなるため丈夫な容器が不要で、電池の小型化や大容量化が可能になることから、リチウムイオン電池を超える次世代電池として注目を浴びている。

 発表によると、2018年の全固体電池市場は24億円にとどまっているものの、2035年には2018年比1,115.5倍の2兆6,772億円に急拡大すると予想されている。全固体電池は酸化物系は1960年代から、硫化物系は1980年代から開発が開始されたが、電解液に比べてイオン伝導性が低いなどの課題があり、技術開発に長い時間がかかった。しかし、2000年代以降は電解液並みのイオン伝導性を持つ硫化物系固体電解質LGPSの発見や、固体電解質の界面制御方法の開発などを契機にブレイクスルーが起こり、2035年にかけて一気に市場が拡大すると予想されている。

 全固体電池に注目が集まる中、業界各社は研究開発を進め、有望市場への参入を狙っている。マクセル株式会社は硫化物系固体電解質を使用したコイン形全固体電池を開発し、9月上旬からサンプル出荷を開始。硫化物系固体電解質には、三井金属鉱業株式会社との協業による材料を使用し、これまで難しかった全固体電池の高容量化と高出力化の両立に加え、寿命と耐熱性の大幅な向上を図った。コイン形全固体電池は既存電池制御システムの流用が可能になるほか、10年以上にわたり安定した電池特性を発揮する、マイナス50度から100度の幅広い温度領域で優れた電池性能を発揮するなどの特長がある。

 一方、株式会社村田製作所は6月、業界最高水準(2019年6月 同社調べ)の電池容量を持つ全固体電池を開発したと発表した。一般的な電池で使用する電解液に代えて酸化物セラミックス系電解質を使用したことで「燃えない」「熱に強い」特性を有しており、長時間の利用が前提とされるワイヤレスイヤホンなどのウェアラブル機器やIoT機器などへの利用が期待されている。同製品は、2020年度中に月間約10万個の生産を計画している。

 また、FDK株式会社も5月、昨年12月にサンプル出荷を開始した小型全固体電池の高容量化品を開発し、5月からサンプル出荷を始めている。同製品は高温・真空など、過酷な環境下で使用される産業機器や車載電装機器などでも安全・安心に電力を供給できる。サンプル出荷と並行して全固体電池の開発を続け、2020年度からの量産に向けた対応を進めている。

 全固体電池の技術開発が進んでおり、量産が本格化すれば市場は急速に拡大していきそうだ。

【関連記事】
太陽光関連業者の倒産がピークアウトのきざし、一方で定置用蓄電池市場は拡大
FOLIO、投資テーマに「キャッシュレス」「全固体電池」を追加
経産省が「水素基本戦略」策定 水素燃料市場は2030年度に1,446億円まで拡大予測

  • ブックマーク
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連リンク


All contents copyright © 2007-2019 Shoeisha Co., Ltd. All rights reserved. ver.1.5