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「ESG情報を投資判断に活用」運用機関の95%以上、目的は「リスク低減」

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2020/01/07 09:00

 経済産業省は、投資家のESG投資などに対するスタンスや取り組みを把握し、グリーンファイナンスに関する政策に役立つ基礎情報を収集するために、ESG投資に関する運用機関向けアンケート調査を実施した。調査対象は国内外の主な運用機関など計63社(海外企業は日本に拠点がある企業が対象)。うち48社(総運用残高 約3,988兆円)から回答を得た。

 2019年12月24日に発表された調査結果によると、アンケートに回答があった運用機関のうち、97.9%がESG(環境、社会、ガバナンス)情報を投資判断に活用している。

 ESG情報の活⽤⽬的としては「リスク低減」が97.9%、「リターンの獲得」が87.5%で多くなっている。また、ESG要素の中で投資判断に考慮する内容としては、E(環境)の「気候変動」が約80%と最も重視されており、S(社会)では健康・安全・労働環境、G(ガバナンス)では取締役会に関する事項が挙がっている。

 その一方で、ESGを投資判断などにおいて考慮する際の障害として、「企業のESGに関する情報開⽰が不⼗分」であると85.4%の運⽤機関が感じている。また、⽇系の運⽤機関は外資系の運⽤機関に⽐べて「ESG投資の適切な評価方法が確立できていない」ことにも課題認識を持っている。

 現在では非財務情報に関する多くの国際的イニシアティブ等が存在するが、ESGを投資判断やエンゲージメントにおいて考慮するうえで重視している国際的なイニシアティブ等をたずねたところ、90%以上の運⽤機関がPRI(Principles for Responsible Investment、国連責任投資原則)、TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures、気候関連財務情報開示タスクフォース)、SDGsを重視していることがわかった。

 ⽇本企業のTCFD賛同数は増加しているが、合計80%以上の運⽤機関が企業に対して、TCFD開⽰の実施・開⽰内容の充実が必要と認識している。現状では、TCFD提⾔に基づく情報開⽰が限定的となっているため、運⽤機関は積極的な情報開⽰を推奨し、ESG評価の⼀部に組み⼊れている。開⽰すること⾃体を評価する運⽤機関も存在する。

 日本のTCFD賛同機関数は2019年12⽉23⽇時点で216機関。世界の賛同機関の約2割を占め、世界1位。⽇本は⾮⾦融セクターの賛同数が多く、世界の⾮⾦融セクター全体の3分の1を占めている。また、運⽤機関等のTCFD開⽰の状況については、80%以上の運⽤機関が賛同しているが、実際に開⽰を⾏っているのは約44%に留まっている。

 2019年10月8日にTCFDコンソーシアムが策定し、TCFDサミットにおいて公表された「グリーン投資の促進に向けた気候関連情報活用ガイダンス(グリーン投資ガイダンス)」の認知度を調べたところ、運用機関の約98%が認知しており、約60%の運用機関が活用を考えている。具体的には、エンゲージメント(企業との対話)や企業分析、社内外でのTCFDに関する啓蒙等に活用することが想定されている。

 「グリーン投資」のグリーン性の判断については、⾃社の独⾃基準でグリーン性の判断を⾏っている運⽤機関が47.9%で最も多い。ICMA(International Capital Market Association、国際資本市場協会)・環境省のグリーンボンド原則・ガイドラインも国際的な枠組として43.8%の運⽤機関が基準としている一方で、適切な参照基準が存在しないと感じている(20.8%)、わからない・答えられない(14.6%)と いった運⽤機関も存在する。

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