緊張が高まる米国とイラン
年始早々、米国とイランの間で緊張が走っています。米国防総省は2日、空爆によりイラン革命防衛隊の司令官を殺害したことを明らかにしましたが、これに対しイランは報復を示唆しています。一方で、米トランプ大統領は、もし報復があればより大規模な軍事作戦に打って出ると発言。これを受けて原油先物相場が上昇するなど、金融市場には影響が出てきています。

万が一の事態に備えて、過去の事例を確認しておくことは有益かもしれません。米国が地上軍を派遣した直近の戦争としては2003年のイラク戦争が挙げられます。今回は、イラク戦争前後の数年間における株式市場などについて振り返ります。
イラク戦争前後の情勢
当時の米国の経済状況は、1990年代の株価上昇から2000年に株価が下落に転じ、2001年ごろになると失業率が上昇するなど、実体経済においても景気後退を感じ始めたころです。
そんな中、2001年9月11日に米国同時多発テロが起こり、アフガニスタンを支配するタリバーンがテロの首謀者とされるウサマ・ビンラディンの引き渡しを拒否したことを受け、同年10月7日、当時の米国大統領、ジョージ・W・ブッシュ大統領は英国とともにアフガニスタンに対する空爆を開始しました。
2001年12月7日にはアフガニスタン紛争は区切りを迎えましたが、翌2002年1月29日にブッシュ大統領が議会向けの一般教書演説において、北朝鮮、イラン、イラクの三か国を「悪の枢軸」と非難し、当時フセイン大統領政権下にあったイラクに対する開戦が意識されるようになりました。
2003年3月17日、米国は先制攻撃としてイラクに空爆を行い、ブッシュ大統領はイラクに対して最後通告を行いました。そして19日に米英などが「イラクの自由作戦」と称してイラクへの侵攻を開始しました。
2003年5月1日、ブッシュ大統領は早々に大規模戦闘終結宣言を出しましたが、アフガニスタン同様、イラクでの戦闘はフセイン政権を崩壊させた後も断続的に発生しました。イラクでは治安の悪化が深刻化し、新しくできた政権も不安定な状態でした。