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金商法改正とともに動き始める「STO」の可能性、IPO・ICOとも異なる新たな資金調達スキームとは

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2020/02/12 12:00

 新たな資金調達手段として注目を集めるSTO(セキュリティ・トークン・オファリング)。昨年10月に設立された「日本STO協会」の佐藤隼人さんに、法的な定義、IPOやICOとの違い、資金調達の可能性についてうかがいました。

動き出したSTO、改正法での定義に注目

――資金調達の新たなスキームとして、セキュリティ・トークンを使ったSTOに注目が集まっています。まず、STOの仕組み、IPOやICOとの違いについてうかがいたいと思います。

佐藤:一般にIPO(Initial Public Offering)は各国の金融規制、日本の金融商品取引法(以下、金商法)、米国の証券法などにもとづいた株式の新規の公開という制度で、金融の領域に属するものです。一方、ICO(Initial Coin Offering)と呼ばれるものは、金融規制の外に位置づけられるプロジェクトベースの資金調達として、2016年から2017年、2018年ぐらいまで各国で急速に普及した手法です。

 ICOは国によって取り扱いの方法が異なっていて、日本では金商法ではなく資金決済法という別の法律の中で規制を設けて、仮想通貨交換業者が取り扱うビジネスになっています。

佐藤 隼人(サトウ ハヤト)氏 日本STO協会 執行役員、SBI CapitalBase株式会社 取締役。1984年生まれ。東京都出身。 2008年からSBI証券にて経営企画、サービス企画・開発マネージャーを担当。 2014年、SBIホールディングス社長室にて仮想通貨関連の新規事業企画、 投資案件の調査・評価を担当。2017年10月にSBI CapitalBaseを立ち上げ代表就任。 ICOプラットフォーム事業を目指すも仮想通貨規制の強化を受け方針転換。 株式投資家型クラウドファンディング事業を立ち上げ、2019年6月に財務局登録完了。 日本STO協会の立ち上げに参画、2019年10月より現職。
佐藤 隼人(サトウ ハヤト)氏
日本STO協会 執行役員、SBI CapitalBase株式会社 取締役。1984年生まれ。東京都出身。
2008年からSBI証券にて経営企画、サービス企画・開発マネージャーを担当。
2014年、SBIホールディングス社長室にて仮想通貨関連の新規事業企画、
投資案件の調査・評価を担当。2017年10月にSBI CapitalBaseを立ち上げ代表就任。
ICOプラットフォーム事業を目指すも仮想通貨規制の強化を受け方針転換。
株式投資家型クラウドファンディング事業を立ち上げ、2019年6月に財務局登録完了。
日本STO協会の立ち上げに参画、2019年10月より現職。

 今回のテーマであるSTO(Security Token Offering)は、制度としてはIPOとICOのちょうど中間ぐらいに位置していて、国によって金融規制に含めるところもあれば、仮想通貨のほうに寄せるところもあります。日本は既存の金商法を改正するかたちでSTOに関するルールを定義しましたが、米国では、既存の証券法の変更はなく、これまでの有価証券の該当基準に照らし合わせ、有価証券としての解釈が出ています。

 このように、STOの取り扱いのルールは各国でバラバラなのが現状ですが、将来的には各国でルールや規格が統一されて、互換性を持ったかたちで、グローバルマーケットができあがっていくのではないかと考えています。

――実際に、日本でSTOによる資金調達が実現するには、どれくらいの時間がかかるのでしょうか。

佐藤:2020年の6月までに改正された金商法が施行されますので、そこからビジネスとしてスタートすることになります。初年度は手探りの状態になると思うので、まずはイノベーターやアーリーアダプターと呼ばれるような人たちが先陣を切って、自分たちの事業で資金調達しようという例が生まれてくると思います。そして2年目以降、我々のほうでも証券会社で販売したセキュリティ・トークンをセカンダリー取引で売買できるようにしていきたいと考えています。

――手に入れたトークンを売ることができる仕組みも必要なのですね。

佐藤:株の場合、たとえば東証に新規上場した後に、多くの企業や個人の投資家が売買しています。STOも個人の投資家に広めていくのであれば、買った後に売ることができる場が必要だと思います。

 我々としては1年目からビジネスをスタートさせ、セカンダリーマーケット、流通市場というものが整うことによって、売ったり買ったりしやすくなり、いろいろな案件も生まれやすくなると考えています。「売る場所もあるし、だったら買ってみよう」というところで、資金を出す投資家のマインドが高まる。また、資金調達する事業者の側も、今までは機関投資家といった投資のプロから資金調達していたものが、個人からも調達できるチャンスが生まれるので、STOという新しい仕組みを活かした資金調達を検討しようという動きも出てくるでしょう。


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著者プロフィール

  • 井浦 薫(編集部)(イウラ カオル)

    MONEYzineのロゴ下のキャッチコピーが「投資とお金のこと、もっと身近に」に変わりました。
    これから大きく変化していくこの領域で、注目の人やサービス、テクノロジーを紹介していきたいと思います。ウェブだけでなく、MarkeZine BOOKSの書籍編集も担当しています。

  • 関口 達朗(セキグチ タツロウ)

    フリーカメラマン 1985年生まれ。 東京工芸大学芸術学部写真学科卒業。大学卒業後、小学館スクウェア写真事業部入社。契約満期後、朝日新聞出版写真部にて 政治家、アーティストなどのポートレートを中心に、物イメージカットなどジャンルを問わず撮影。現在自然を愛するフリーカメラマンとして活動中。

本記事は、投資や貯蓄などマネーを活用するための情報提供を目的としており、続きを見る

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