FRBが緊急利下げも、株価は下落
3月3日、FRB(米連邦準備制度理事会)は緊急の理事会を開催し、50bp(ベーシスポイント)の利下げを決定しました。さらにFRBは15日に1%の緊急利下げを決定し、実質的に米国はゼロ金利に突入しました。
新型コロナウイルスによる米国経済の後退懸念やそれに伴う米株式市場の混乱を受けて、市場では3月17日から18日に開催されるFOMC(連邦公開市場委員会)での利下げが想定されていましたが、それに先んじて利下げ、しかも短期間で150bpという大幅なFF(フェデラルファンド)金利の引き下げが決定されたことは、市場では大きなサプライズをもって受け止められました。

FRBの利下げ決定を受けて、3日のNYダウは一時前日比381米ドル高となりましたが、その後は下落に転じ、終値では前日比785米ドル安となる25,917.41米ドルで引けました。本来、利下げは株価の上昇要因となりますが、それにもかかわらず米株価が大きく下落したのは、以下のような要因が考えられます。
・FRBの景気見通し悪化への懸念
緊急の利下げが必要となるほど情勢は悪化しているのか?
・各国協調対応期待で上昇した前日の反動安
材料出尽くし
・新型コロナウイルスのさらなる被害拡大への懸念
金融政策では根本的解決(ウイルス被害の抑制)をもたらすことはできない
さらにその後も、原油価格の急落やそれに伴う米シェール企業の信用不安、さらにトランプ米大統領が表明した欧州からの渡航制限などの影響も相まって、米国株式市場は頻繁に急落を繰り返しています。
12日のダウ平均は前日比2,352米ドル安と過去最大の下げ幅を記録しました。FRBが苦渋の決断で行った緊急利下げも、今のところ目に見えた効果は出ていません。