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低金利時代の住宅ローン、借り換えは「したほうがいい」ではなく「するべき」です

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2020/04/06 12:00

 なぜ日本では金利が下がっても住宅ローンの借り換えをする人が少ないのか。この現状に疑問を抱き、MFSを立ち上げた中山田さんに、サービスのコンセプト、低金利時代の住宅ローンについてうかがいました。

住宅ローンの考え方は、日米で大きく違う

――今回は、住宅ローンの新しいサービスを提供しているMFS代表の中山田さんにお話をうかがいます。ずっと住宅ローンに関わってこられた中山田さんのキャリアはどのようにスタートしたのでしょうか。

中山田:私は大学を卒業したのが遅くて24歳のときでした。新卒で三井物産に入社したのですが、第2外国語がロシア語だったこともあって、おそらくそのまま行けばロシア(当時はソ連)中心の仕事になったと思います。でも、長いビジネス人生、そこから軌道修正するのも難しそうだなと思い、転職を決意しました。

 アメリカの中堅証券会社に入って、海外の債券を日本の機関投資家に売る仕事をしていたのですが、その会社はいわゆる「モーゲージ債」、住宅ローン担保証券を専門とする会社でした。けれど、ニューヨークで研修を受けて帰国したときに、1994年から始まったアメリカの利上げが重なり、わずか数か月のうちに3%ぐらい金利が上がって債券マーケットが暴落してしまった。

MFS代表取締役CEO 中山田 明氏東京大学経済学部卒業。1999年ベアー・スターンズ証券にて、日本初の住宅ローン証券化を担当。その後、新生銀行にて総額5,000億円以上の住宅ローンを証券化。2011年にSBIモーゲージ(現アルヒ)入社、2012年よりCFOを歴任。2014年10月からMFS代表。
MFS代表取締役CEO 中山田 明氏
東京大学経済学部卒業。1999年ベアー・スターンズ証券にて、
日本初の住宅ローン証券化を担当。
その後、新生銀行にて総額5,000億円以上の住宅ローンを証券化。
2011年にSBIモーゲージ(現アルヒ)入社、2012年よりCFOを歴任。
2014年10月からMFS代表。

――いまのマーケットとも重なるようなすごい状況ですね。

中山田:危機的な状況のときって、いちばんスタンダードな商品が生き残るんですね。債券マーケットにおけるモーゲージ債というのは最先端のマーケットで、キャッシュフローが複雑な派生商品がかなり多く組成されていました。商品が複雑であればあるほど、流動性が低く、いざとなったときに買い手がつかなくなってくる。私は、在籍していた会社の東京支店がなくなったことを日経新聞の朝刊で知るという体験をしました。

 それでも、他の投資銀行からうちに来ないかというオファーがたくさんきたので、3か月後には次の会社で働き始め、債券やデリバティブ商品の営業に関わることになりました。

――中山田さんから見ると、日本とアメリカで住宅ローンについての考え方はどのように異なっているのでしょうか。

中山田:アメリカでは、住宅ローンを借りている人たちの借り換え行動というのが非常に敏感で、0.5%金利が安くなったら、わーっと借り換えが起きる。しかし日本では借り換えを積極的にする人はまだまだ少ないですよね。

――なぜ、日本は借り換えが少ないのでしょうか。

中山田:いちばん大きな違いは、アメリカには住宅ローンを媒介するサービスがある点です。金融機関とユーザーの間に入って「いま借り換えをしたほうがいいですよ」とか「借り換えをお手伝いしますよ」とアドバイスするモーゲージ・ブローカーと呼ばれる人たちがいて、それがビジネスとして成り立っている。

 日本にはそういう産業がそもそもなくて、「銀行」と「住宅ローン」を借りている人しかいない。でも、住宅ローンを借りる側の人は金融の知識をあまりお持ちではないので、借り換えたらどうなるのかがよくわからないんですね。

――確かに。わからないだけに「借り換えは面倒くさい」と考えてしまいそうです。

中山田:銀行のほうも、自分たちがお金を貸している人に借り換えられてしまうと困ってしまう。でもその一方で、他行で借りている人には借り換えをしてほしい。けれど、それらをうまくマーケティングするのがなかなか難しい状況がありました。

 せっかく借り換えチャンスがあるのに、借り換えない人が日本は多い。日本で住宅ローンを借りている人が、もっと簡単に借り換えできるサービスがあってもいいんじゃないかなと思ったのが、MFSを立ち上げたきっかけです。

住宅ローンの審査をめぐる状況

――MFSは「モゲチェック」や「モゲパス」など、住宅ローンにまつわる手間を解消するサービスを提供していますが、特にどのあたりに借り換えのハードルがあるのでしょうか。

中山田:まず、「借り換えをするとどうなるか」というのは、「いま、いくらのローンを借りているか」がわからないと分析のしようがないのです。10人の人がいたら、一人ひとり借り換えのメリット額はまったく違います。

 にもかかわらず、住宅ローンは一度組んでしまうと、毎月定額が自分の口座から引き落とされていくだけなので、「いくら借りているのか」「金利はいくらか」といった詳細を忘れてしまう人が結構多いんですよね。

MFSの住宅ローンサービス「モゲチェック」の借り換え提案書の例
MFSの住宅ローンサービス「モゲチェック」の借り換え提案書の例

 MFSは住宅ローンの借り換えサービスからスタートしていますが、住宅ローンが何のためにあるかというと、やはり「家を買うため」なんです。だから、家を買うときのローン付け、新規借り入れのための住宅ローンの媒介が大事です。でも実際には、家を買うときに「自分はいくら借りることができるのかな」「自分の年収だとこんなもんかな」みたいな感じで、ざっくり予算を立てて家を見に行く。気に入った家が見つかったら銀行でローンの審査を申し込む。でも審査に落ちてしまったら、それまでの準備がすべて無駄になります。

――すごい徒労感ですね……。

中山田:インターネットが生活に欠かせないものとなる中で、不動産を買うという行動もオンラインにシフトしています。それに合わせて、住宅ローンも自分で、A銀行、B銀行、C銀行、それぞれにローンの申し込みをするのではなく、その人のデータがオンラインでアクセスできるデータベースに保存されていて、ほしい不動産の情報が決まれば、そのデータを使って複数の銀行に申し込み、審査の当落がすぐに判明し、いちばん低い金利のローンを自動的に選べる。そういうサービスが理想です。おそらく5年、短ければ3年ぐらいで、それが実現できると思います。


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著者プロフィール

  • 井浦 薫(編集部)(イウラ カオル)

    MONEYzineのロゴ下のキャッチコピーが「投資とお金のこと、もっと身近に」に変わりました。
    これから大きく変化していくこの領域で、注目の人やサービス、テクノロジーを紹介していきたいと思います。ウェブだけでなく、MarkeZine BOOKSの書籍編集も担当しています。

  • 慎 芝賢(シン ジヒョン)

    フリーカメラマン 日本大学芸術学部写真学科卒業後、朝日新聞出版写真部勤務。
    2014年フリーカメラマンに。
    雑誌・書籍・新聞・web媒体を中心に撮影を行う。

本記事は、投資や貯蓄などマネーを活用するための情報提供を目的としており、続きを見る

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