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2020年に経営陣が優先すべきは「成長」ではなく「生き残り」、増加するIT支出にどう対応するか

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2020/05/12 09:00

 米ガートナーは、新型コロナウイルスの感染が拡大する中で、財務面で生き残りを図るために、IT支出に関して取るべき8つのアクションを発表した。

生き残るために必要なIT支出の見直し

 米ガートナーは、新型コロナウイルス感染症の及ぼす財務的な影響の多くをIT部門が実感することになるだろうとの見解を発表した。CIO(Chief Information Officer)は、感染症が拡大する中で、IT部門のキャッシュフローを保護または「隔離」するために、8つのアクションを取るべきだとしている。

 ガートナーのアナリストは、「経営幹部が2020年に優先すべきは『成長』ではなく『生き残り』だと指摘する。生き残れるかどうかは、テクノロジーを使って革新性を保ちながらキャッシュフローと収益を維持できるか否かで決まる。行動を起こさなければ、企業はこの混乱の中を生き残れないかもしれないし、生き残れたとしてもその後の回復は遅れるだろうというのだ。

 ガートナーがまとめた、CIOが取るべき8つのアクションは以下のとおりである。

重要度の低い支出を保留する

 CIOは、ITの現時点の支出(現時点で支払っている、あるいは支払うことが決まっている支出)のどの領域を延期、排除、変更できるかを直ちに規定すべきである。その際は、まだ発生していない(確約されていない)支出のほか、本質的に重要度の低い裁量的な変動支出に注目する。

支出増加を見越す

 主にオフィス内での業務を中心とする多くの企業や業界では、デスクトップPCや固定のオフィス・ネットワーク/インフラストラクチャを使用している。オフィス型からリモート・ワーク型の働き方に切り替えるために、ノートPC/モニタ/モバイル・デバイスの取得やこれらへの資金獲得、増やしたソフトウェア/VPN/ハードウェアへのコスト、利用量ベースの通信コスト(音声とデータの両方)という形で支出が増加する可能性がある。

 ガートナーのアナリストは「CIOはコスト増を見越して計画を立てる必要がある。多くの組織では、IT予算におけるコスト増を実感することになるだろう」と指摘。CIOは、ビジネス部門のリーダーやCFOと話し合い、コスト増に対処できること、そしてそれと同時に可能な領域に対しては支出削減できることを確認する必要があるとしている。

現時点の支出の割合を減らす

 CIOは、ビジネス部門と連携して要件ごとの優先順位を見直し、IT部門が捻出できる支出のレベルを設定する必要がある。支出とアクションについては、以下の3つに分類する。

・可能/必須:停止、延期、遅滞が可能(したがって必須)なベンダー/サプライヤーおよび支払いを特定する。このときCIOは、組織が将来、支払いができなくなる可能性のある「後払い」取引にも警戒するべきである。

・可能性あり/必要:停止、延期、遅滞できる可能性があるベンダー/サプライヤーおよび支払いを特定し、具体的な支出削減アクションと、そのアクションを実行するために必要な、関連のあるリスク低減措置を見つけ出す。

・不可能/禁止:自社のビジネスにとって必要不可欠であるため、今回停止、延期、遅滞すべきではない支払いおよびベンダーを特定する。こうした取引先のパフォーマンスと財務的健全性を積極的に監視し、危険な状態にあるベンダーに対しては緊急対応計画を検討する。

既存の全投資を評価する

 CIOは今すぐ、仕掛中の全プロジェクトのレビューを行い、「最重要ではないプロジェクト」と「最重要プロジェクト」の2つに分類する。

 「最重要ではないプロジェクト」については即座に中断する一方、直近のキャッシュフローや組織として生存し続けていくために必要となる「最重要プロジェクト」については、削減可能な要素を判断するためにレビューする。このとき、期をまたぐような大規模プロジェクトは後者に入ることが多くなるだろう。また中断できそうなプロジェクトであっても、多くの部分を外部に委託している場合は、対象に入れることに慎重になるべきだ。

新規支出をすべて延期する

 CIOは、プロジェクト/人員/資産/アップグレードに対してまだ支払いが始まっていないものはすべて延期またはキャンセルし、当該支出に関連して留保していた、あらゆるサードパーティ・リソース/サービス/インフラストラクチャ費用も解除するべきである。

 ただし、延期することでパンデミック収束後のビジネスに大きな影響が及ぶ可能性のある新規プロジェクトをここで見極める必要があり、そういったプロジェクトに対しては、できる限り投資を継続する。

既存の全支出を再評価する

 CIOは、自らの裁量権があるプロジェクト・ポートフォリオはもちろんのこと、現在提供中のサービス・ポートフォリオについても、サービス・レベルを下げる機会の特定に取り組むべきである。

 ガートナーのアナリストは「CIOは、クラウド・サービス、音声/データ通信など、組織全体のすべての変動的な運営支出(OPEX)において現在の利用量レベルを精査し、サービスを完全に廃止するか、供給の制限/管理および契約条項の再交渉(必要な場合)を行うことで全社的なサービス利用量を減らす制御のアクションを取るかどうかを、サービスごとに判断する」よう促している。

利用量削減に向けて交渉する

 CIOはビジネス部門のリーダーと連携して、業務に対して行う主要な変更を決める。ビジネス部門にはサービスやアプリケーションを解約するよう交渉し、ビジネス部門のユーザーには利用量を減らすか作業方法を変えるよう促す。こうしたことは、ビジネス部門の変動的な運営支出、場合によっては固定費を減らす対策となる。

代替の財務アプローチを探る

 CIOはCFOと連携して、国や地方自治体レベルで利用可能な、政府または業界による補助金を調査するべきである。

 以上がガートナーがまとめた8つのアクションである。日本国内の感染拡大は次第に落ち着きを見せてはいるが、依然として予断を許さない状況だ。変化に対応しながら先を見越してどう対策するかは、引き続き企業にとって大きな課題となりそうだ。

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