経済活動の段階的再開に、株式市場は好感
5月25日、首都圏や北海道で緊急事態宣言が解除されたのに続き、6月1日に東京都は「新型コロナウイルス感染症を乗り越えるためのロードマップ」におけるステップ2に移行し、商業施設や劇場、運動施設(スポーツジム)などに対する休業要請が解除されました。
ステップ2への移行直後の2日には東京で感染状況が再び悪化し始めていることを警戒する「東京アラート」が発動されるなど、いまだ余談を許さない状況ですが、段階的に経済および社会活動が再開され始めています。

これらを好感する動きは株式市場においても続いており、日経平均は大きく上昇し、8日(終値)時点では23,178円と久しぶりに23,000円台を回復しました。
上昇をけん引したのは海外勢の「買い」?
市場環境面では、経済活動再開への期待が直近の株式市場の上昇要因となったことは間違いないでしょうが、需給面で株式市場を押し上げたのは海外投資家であると考えられます。
下図は東京証券取引所が公開している「投資主体別売買動向」より、海外投資家の売買差額と日経平均の推移を表したものです。海外投資家売買動向は現物株と先物(225先物、225mini先物、TOPIX先物、TOPIX mini先物、JPX400先物、マザーズ指数先物)の売買代金の合計です(海外投資家売買動向は5月4週目(25日~29日)まで)。

5月28日に公開された5月第3週の海外投資家による売買は、現物株と先物の合計で3,863億円の買越しで、15週ぶりに買越しに転じました。その流れは5月4週も続き、2週連続で買越しとなっています。6月1週目以降のデータは本稿執筆時点ではまだ公開されてはいませんが、日本株市場の上げ幅を見る限り、引き続き買越し基調は続いている可能性は高いと考えられます。
海外投資家が買いに転じた理由としては、以下の要素などが複合的に影響して、買い戻しに迫られたのではないかと推測できます。
1. 2月後半以降に大きく売越していたこと
2. 個人投資家と日銀を中心とした買いで想定以上の速度で日本株市場が戻したこと
3. 目先にSQ(特別清算指数)算出日(6月12日)が迫っていること
では、海外投資家の買越し基調はいつまで続くのでしょうか。過去の事例からそのヒントを検討してみたいと思います。