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金融資産が多い層ほど「家計簿」を活用している【住まいと資産形成調査】

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2020/06/23 11:30

 住宅ローンを保有しながら資産形成を行なうことは難しいが、家計における工夫として多くの人が「ポイントやマイル」を活用。さらに、保有金融資産が多い層では「家計簿」を活用していることがわかった。

年齢を重ねるほど同じ世代内における金融資産の格差が拡大

 三井住友信託銀行の三井住友トラスト・資産のミライ研究所(以下、ミライ研)は、2020年1月に実施した「住まいと資産形成に関するアンケート調査」の結果を発表した。調査対象は全国の20歳~64歳の男女1万人(この調査では「60歳代」は60~64歳を指す)。

 まず、今回、20歳~64歳の男女に「世帯として保有している金融資産(現金、預貯金、債券・株、投資信託、生命保険のうち満期金のあるもの、貸出金等 住居等不動産は除く)」をたずねたところ、1世帯あたりの平均金融資産保有額は20歳代の270万円から年齢とともに増加していき、60歳代では1,828万円、20歳代の6.8倍という結果になった。

 10歳刻みでその平均保有額の変化をみると、20歳代から40歳代までの伸びは比較的緩やかであるのに対し、50歳代から60歳代にかけては10年間で700万円以上増加しており、住宅ローン返済からの解放、教育費負担の減少、退職金の受け取りなどが背景と考えられる。

年代別にみた世帯あたり平均金融資産保有額(単一回答、有効回答数=10,220)
年代別にみた世帯あたり平均金融資産保有額(単一回答、有効回答数=10,220)

 次に、金融資産保有額を低位層・中間層・高位層の3階層(※)にわけ、各世代での家計金融資産の分布状況を見ると、家計金融資産の分布は、年齢が上がるにつれより高位層寄り(図表中の緑色)にシフトし、かつ中間層が減って高低両側へのバラツキが大きくなっていく。つまり、齢を重ねるほど同じ世代内における金融資産の格差が拡大する傾向となっている。

世代別にみた世帯あたり平均金融資産保有額(単一回答、有効回答数=10,220 )
世代別にみた世帯あたり平均金融資産保有額(単一回答、有効回答数=10,220 )

※3つの金額階層について:総務省「家計調査/貯蓄負債編2018年」の貯蓄残高階級別世帯分布(二人以上勤労者世帯)における「残高300万円未満:300万円~1,600万円:1,600万円以上」の比率が概ね「25:50:25」であることを参考に、低位層と中間層の区切りを「300万円」、中間層と高位層の区切りを「1,500万円」と設定。

金融資産の格差拡大と住宅ローン

 続いて、金融資産の格差拡大と「住まいと住宅ローン」との関係性を調べるため、「持家の状況」と「住宅ローンの有無」の結果から以下の4つのグループに分けて、保有する金融資産の推移を分析した。

・持家/ローンあり世帯
・持家/ローン返済済み世帯
・持家/ローンなし世帯
・借家・親と同居/ローンなし世帯

ローン状況別の保有金融資産額の推移(単一回答、有効回答数=10,220)
ローン状況別の保有金融資産額の推移(単一回答、有効回答数=10,220)

 40歳代以降に注目すると、以下の状況が見えてきた。まず、40歳代では「持家/ローン返済済み世帯」と「持家/ローンなし世帯」の資産形成が大きく進み、保有額は1,000万円前後に到達している。

 50歳代では「持家/ローン返済済み世帯」と「持家/ローンなし世帯」の資産形成が引き続き順調に進んでいる。60歳代では持家と住宅ローンの保有状況によって家計金融資産保有額に2倍の開きが出ている(持家で「ローン返済済み世帯」と「ローンなし世帯」を比べると2,000万円前後など)。

 また、持家購入者に最も大きな購入動機をたずねたところ、「賃貸の家賃を払うなら、(ローンを払ってでも最後は家が)自分のものになったほうがいいから」が平均20%を越えるなど、全世代を通じて第1位となった。しかし、30歳代では第2位、第3位がそれぞれ「子供」「結婚」と、世帯構成の変化やライフイベントの発生が上位になっている。

住宅購入者の最も大きな購入動機(単一回答、有効回答数=3,610)
住宅購入者の最も大きな購入動機(単一回答、有効回答数=3,610)

 「住宅ローン返済の負担感」について聞くと、全体では、「少し負担に感じる」が52.4%で最多となった。以下、「負担に感じる」が25.1%、「まったく負担に感じない」12.1%、「かなり負担を感じる」10.5%となった。

住宅ローン返済への負担感(単一回答、有効回答数= 2,957)

住宅ローン返済への負担感(単一回答、有効回答数= 2,957)

資産形成に最も取り組んでいるのは「持家/ローンあり世帯」

 続いて、資産の形成をどのように行っているのかを調査するため、全世帯に「定期・不定期を問わず、過去1年に以下の資産形成(※)に向けた取り組み(保有)をしているか」とたずね、1つ以上行っていれば「実施」とし、取り組み状況をまとめた。

※ 国内預金、財形・社内預金、生命保険、日本国債・地方債、外貨預金、FX、投資信託、社員持ち株会、株式投資、不動産投資、暗号資産、商品先物取引

 資産形成に向け何らかの取り組みを実施している世帯の比率は、全世帯ベースでは69.4%。持家/ローンあり世帯は79.5%とローンの保有状況別の4グループ中、最も実施比率が高く、住宅ローンを返済しつつも、資産形成に向け何らかの取り組みを行っているということがわかった。

資産形成に向けた取り組み(複数回答、有効回答数=10,780)

資産形成に向けた取り組み(複数回答、有効回答数=10,780)

 ただし、実際に1年間に資産形成できている金額はあまり多くない。資産形成への取り組みを行っている持家/ローンあり世帯の5割は年間資産形成額が50万円未満で、うち1割は差し引きゼロ(積み立てはするが、引き出して費消してしまうケース)、300万円以上は5%未満に留まっている。

住宅ローン保有状況別にみた家計の年間資産形成額分布(単一回答、有効回答数= 4,210)※構成比については1%未満 および 文字重なりにより判読不可の部分を一部省略。

住宅ローン保有状況別にみた家計の年間資産形成額分布(単一回答、有効回答数= 4,210)
※構成比については1%未満 および 文字重なりにより判読不可の部分を一部省略。

保有資産が多い層は「家計簿」を活用

 最後に、住宅ローンを保有していて資産形成にも取り組んでいる世帯の家計行動の特徴を知るために、「家計面で行っている具体的な工夫・努力」についてたずね(複数回答可)、その結果と金融資産保有額をクロス分析した。

 冒頭の分析でも利用した3つの金融資産保有額階層(低位層・中間層・高位層)ごとの工夫・努力項目の実施率を見ると、すべての保有額階層で実施率トップは「ポイントやマイルの活用」。ただし300万円未満では35%、300万円以上では45%と実施率に差が出ている。

金融資産保有額別にみた家計面の工夫・努力トップ5(持家/ローンあり世帯)(複数回答、有効回答数= 1,114)

金融資産保有額別にみた家計面の工夫・努力トップ5(持家/ローンあり世帯)
(複数回答、有効回答数= 1,114)

 「ポイントやマイルの活用」以外では、低位層(保有金融資産300万円未満)は、まずは「日々の節約」、次に「家計簿」の順になっている。しかし、中間層・高位層になると、「節約」より「家計簿」が上位になる。家計簿の利用率は金融資産保有額が大きい世帯ほど高く、高位層(保有金融資産1,500万円以上)では4割が実施していた。

 節約は「衣・食・住(光熱水道)」が中軸で、食費と光熱水道費の節約はどの金融資産階層でも30~35%前後が実施。「ふるさと納税」の利用については、金融資産階層が高位層になると実施率が高まっている。

 令和時代は、全階層で人気があるのは「ポイントやマイルの活用」であり、現金支出を抑えた「賢い支出」に取り組みつつ、保有金融資産が高額になるにつれて、納税してからメリットバックを受ける「ふるさと納税」の利用比率が高まってくる傾向となっている。

 また、保有額300万円未満の層には、300万円以上の層と比べ「特に何もしていない」比率が高く(17.9%)実施している工夫・努力の項目数は少ない(平均2.6個)という特徴がみられた。

【調査概要】
調査名 :住まいと資産形成に関する意識と実態調査
調査対象 :全国の20~64歳の男女
調査方法 :インターネット調査(株式会社インテージ)
調査時期 :2020年1月
サンプル数 :10,780サンプル

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