5月25日に緊急事態宣言が解除され、その前後の雇用環境に関する調査結果が発表されている。
総務省が6月30日に発表した5月の完全失業率(季節調整値)は前月比0.3ポイント上昇して2.9%になった。直近の完全失業率は1月と2月が2.4%、3月が2.5%、4月が2.6%で上昇傾向が続いている。2019年の年平均は2.4%。直近で完全失業率が最も高かったのは2017年5月の3.1%で、5月はそれに次いで高い水準となっている。
5月の完全失業者数は前年同月比33万人増の198万人で、4か月連続で増加。就業者数は同76万人減の6,656万人、雇用者数は同73万人減の5,920万人で、ともに2カ月連続で減少した。
ここで言う「就業者」は従業者と休業者を合わせたものを指し、就業者は「自営業主」「家族従業者」「雇用者」に分かれる。「雇用者」は、会社、団体、官公庁又は自営業主や個人家庭に雇われて給料、賃金を得ている者、および会社、団体の役員のこと。雇用者は「常雇」「臨時雇」「日雇」に分かれる(独立行政法人労働政策研究・研修機構「労働統計用語解説」より)。
一方、株式会社リブセンスが運営するアルバイト求人サイト「マッハバイト」は、サイト利用者1,136名を対象にアンケートを実施し、新型コロナ感染拡大とそれに伴う外出自粛要請等がパートタイム・有期雇用の労働者に与える影響を調査した。調査時期は6月12日から15日。

新型コロナの影響による5月の月収の変化について聞くと、新型コロナ流行前(3月までの平均的な月収)と比較して減少した人は70.6%。減少額の内訳を見ると「2万~5万円」が27.5%で最も多くなっている。他方、「変わらない」は26.1%、「増えた」は3.3%だった。
5月の月収が減少したと回答した802名に、収入の減少をカバーするために実施したことを複数回答で聞いた。最も多かったのは「アルバイトやパートの数を増やした」の33.0%で、以下、「支出を減らした」29.3%、「失業手当や住居確保給付金など公的な給付金を申請した」15.2%、「家族や知人からお金を借りた・もらった」10.2%、「緊急小口資金など公的な貸付金を申請した」4.4%、「銀行や消費者金融などからお金を借りた」1.6%の順で続いた。

5月の月収が減少した人に6月の収入が5月と比べてどれくらい増えそうか聞いた。「増えそう」と回答したのは40.3%で、増加額の内訳は「2万円未満」が14.5%で最も多かった。「変わらない」は45.1%、「減少する見込み」は14.6%で、6割近くの人が収入回復の見込みはなさそうだと考えている。

緊急事態宣言が解除され経済活動が再開されたものの、悪化した雇用や収入が回復するにはしばらく時間がかかりそうだ。
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