トランプ大統領 vs. バイデン前副大統領
連日のように新型コロナウイルスや米中関係の悪化が報じられているため、やや忘れがちではありますが、今年の11月には米国の大統領選挙があります。世界一の経済大国である米国の今後4年間を率いる指導者を決定するイベントですので、株式市場へも大きく影響を与えることになるでしょう。
世界がで注目される選挙戦ですが、民主党の候補者争いを制したバイデン前副大統領が候補者指名を確実にし、現職のトランプ大統領(共和党)と大統領の座を巡って争うこととなります。

気になる支持率ですが、米モンマス大学が7月15日に発表した世論調査によると、トランプ氏の支持率は40%(6月:41%)だったのに対し、バイデン氏は53%(6月:52%)とその差を13%に広げており、対現職大統領でありながらバイデン氏が選挙戦を優位に進めているように見受けられます。
バイデン氏には、候補者指名を争った左派のサンダース上院議員やウォーレン上院議員が支持を表明しているほか、オバマ前大統領やクリントン元国務長官などの民主党の重鎮も支持を表明しており、挙党体制で本選挙に臨むことになりそうです。
一方の共和党は、パウエル元国務長官がバイデン氏支持を公言しているほか、ブッシュ元大統領やロムニー上院議員などの党有力者がトランプ氏不支持の姿勢を取っています。また、トランプ大統領の経済・外交政策に反感を覚える層が多かったのに加え、警察官に取り押さえられた黒人男性が死亡したことを発端に現在も米国内で広がる抗議デモや新型コロナウイルスへの対応に関する不満から、アフリカ系アメリカ人層をや貧困層中心に支持離れが広がっています。選挙まではまだ3カ月以上ありますが、厳しい選挙戦を強いられることになりそうです。
バイデン候補の政策をチェック
新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、11月3日(火)に予定されている大統領選挙に向けてどのように選挙戦が展開されていくかは不透明な部分が多いですが、今のうちに各候補がどのような政策を掲げて選挙戦を戦うのかを整理し、それに合わせた投資戦略を早めに考え、手を打っておくことは意義のあることでしょう。
その点、トランプ大統領の再選となれば現在の政策路線が継続する可能性が高い(過去の政策判断を見る限り突発的な印象はありますが……)と思われますので、大きく政策が変わるとすれば、バイデン氏が大統領になったときでしょう。
バイデン氏が大統領に指名された場合、外交面では同氏が副大統領を務めていたオバマ政権時の政策への巻き戻しが起こる可能性が高いと考えられます。具体的には、トランプ大統領が離脱をしたイラン核合意に関する再交渉や欧州・日本との同盟関係の強化などがその対象となるでしょう。
一方で、オバマ政権時、特に初期と異なるのは対中関係となるでしょう。現在、トランプ政権下において米中関係は悪化していますが、中国に対する強硬な姿勢は民主党にも共通しています。仮に大統領が変わったとしても米中関係の早期改善は見込みづらいかもしれません。バイデン氏が主張する主な政策は以下のとおりです。
バイデン氏が主張する主な政策
・対中:同盟国と連携して対抗
・対イラン:イランの合意順守で米国の核合意復帰
・対ロシア:北大西洋条約機構(NATO)の強化
・法人税率の引き上げ(21%→28%)
・オバマケアの継続・拡充
・政権初年度に500億ドルのインフラ投資(道路、高速道路、橋)
・200億ドルの通信インフラの整備
・適切な移民受け入れ
・パリ協定への再参画
・2050年までにCO2排出量ネット・ゼロの達成
・通信品位法230条の改正