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賃上げ実施率は過去最低の57.5%、非正規の賃上げは“様子見”

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2020/08/01 12:00

 2020年度の正社員の賃上げ率は、集計を開始した2016年度以降で最低となった。非正規の賃上げも慎重な企業が増えているようだ。

 東京商工リサーチは全国の企業を対象に「賃上げに関するアンケート調査」を実施し、その結果を7月20日に発表した。調査時期は6月29日から7月8日で、1万3,870社から有効回答を得た。調査では、定期昇給、ベースアップ、賞与・一時金、新卒者の初任給の増額、再雇用者の賃金の増額を「賃上げ」と定義している。

 回答企業のうち、2020年度に賃上げを「実施した」のは57.5%で、前年度を大きく下回り、定期的な集計を開始した2016年度以降で最低となった。過去の推移は、2016年度が80.1%、2017年度が82.7%、2018年度が82.2%、2019年度が80.9%。

 産業別の賃上げ実施率は「製造業」が62.8%で最も高く、以下、「卸売業」の60.8%と、「建設業」の59.9%が続き、最も低かったのは「金融・保険業」の29.4%だった。

 企業の規模別では、大企業の「実施率」が65.9%に対し、中小企業は55.9%で、10ポイントの差がついた。

 賃上げを実施した企業(n=7,589社)に賃上げの内容を複数回答で聞くと、「定期昇給」が84.8%で最も多く、「ベースアップ」30.8%、「賞与・一時金の増額」23.5%、「新卒者の初任給の増額」8.2%が続いた。

 賃上げ率については「3%未満」の企業が57.7%を占めた。「3%以上」賃上げをした企業の割合は、大企業が28.9%、中小企業は45.2%で、中小企業は人材獲得や定着率を上げるために賃上げを迫られている状況のようだ。

 一方、株式会社マイナビは、非正規雇用(アルバイト・派遣・契約社員)の採用業務担当者1,550名を対象に「非正規雇用の給与・待遇に関する企業調査」を実施し、その結果を7月22日に発表した。調査時期は5月18日から25日。

 同一労働・同一賃金を踏まえた改定状況を聞いたところ、全体では45.6%が「基本給」を「改定済み」もしくは「改定予定」と回答。昨年比では「通勤手当出張旅費」を「改定済み」もしくは「改定予定」(30.6%)が5.2ポイント増加した。正社員と非正規社員間で特別な理由なく違いがあった交通費の差を見直したと考えられる。企業規模別の改定状況は、全項目において正社員数300人以上の大企業で高い結果となった。

 過去半年間の給与を「上げた」と回答した割合は、「アルバイト」が51.5%、「派遣社員」が36.3%、「契約社員」が41.1%でそれぞれ昨年より増加している。

 給与を上げた理由を複数回答で聞くと、「人材確保が難しくなったため」がすべての雇用形態で最も多くなったが、この理由を挙げた割合は「アルバイト」が42.8%(昨年69.2%)、「派遣社員」が37.2%(同64.9%)、「契約社員」が38.6%(同64.8%)で、昨年比でいずれも20ポイント以上減少した。

 今後半年間の給与について聞くと、「上げる予定」と回答した企業の割合は「アルバイト」が21.3%、「派遣社員」が16.8%、「契約社員」が19.0%でいずれも減少した。

 他方、「未定」と回答した企業の割合は、「アルバイト」が25.8%、「派遣社員」が27.0%、「契約社員」が27.1%でいずれも5ポイント以上増加。「下げる」と回答した企業の割合は、「アルバイト」が2.9%、「派遣社員」が5.1%、「契約社員」が4.5%でいずれも微増している。

 新型コロナ感染症の拡大が経済に大きな影響を与える中、非正規職員の人出不足感は弱まっており、今後の賃上げは様子見の企業が増えているようだ。

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