少子高齢化が急速に進む中、経済社会の活力を維持するため、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」(高年齢者雇用安定法)の一部が6月に改正され、令和3年4月1日から施行される。
これによって、65歳から70歳の雇用者に対して、定年引き上げ、継続雇用制度の導入、定年廃止、継続的に業務委託契約する制度や社会貢献活動に継続的に従事できる制度といった、労使で同意した雇用以外の措置のいずれかの「高年齢者就業確保措置」を講ずることが、企業の努力義務となる。ただし、高年齢者雇用安定法の改正は、定年の70歳への引き上げを義務付けるものではない。

改正に合わせ、雇用保険制度では65歳までの雇用確保措置の進展等を踏まえ、高年齢雇用継続給付を令和7年度から縮小するとともに、65歳から70歳までの高年齢者就業確保措置の導入等に対する支援が、雇用安定事業に位置付けられる。
一方、株式会社マイナビは、非正規雇用(契約社員、派遣社員、パート・アルバイト等)で就労している40代から70代の男女1,801名(40代449名、50代454名、60代457名、70代441名)を対象に「ミドルシニア・シニア層の非正規雇用就労者実態調査」を実施し、その結果を7月28日に発表した。調査期間は6月12日から15日。
就労目的を複数回答で聞いたところ、最も多かったのは「自分の生活費のため」53.4%で、以下、「家族の生活費のため」「時間を有効に使いたい」「貯金をするため」の順で続いた。

年代別でも「自分の生活費のため」は40代、50代、60代でトップとなり、70代でも2位にランクインした。また、40代では「貯金をするため」が2位、50代でも3位にランクインしたが、60代と70代では5位までにランクインしていない。その一方で、40代と50代では5位までにランクインしなかった「健康維持のため」が、60代で2位、70代で1位に入り、「人との交流・出会いが欲しいため」も、60代で5位、70代で4位に入るなど、年齢が高くなるほど就労目的が金銭以外のものに移っている様子がうかがる。

高年齢者雇用安定法の改正を受け、現在の職場で何歳まで働きたいか聞いたところ、「65歳まで」が25.8%で最も多く、「70歳まで」「75歳まで」「80歳まで」と続き、「80歳を超えても働きたい」は2.6%、65歳を超えても働きたい人の割合は36.7%だった。

職場を問わずキャリアとして就労を希望する年齢を聞くと、「65歳まで」が30.2%で最も多く、「70歳まで」「75歳まで」「80歳まで」が続き、「80歳を超えても働きたい」が4.7%、65歳を超えても働きたい人の割合は48.5%だった。
生活費のため、貯金のため、健康維持のため、さまざまな目的で65歳を超えても働き続けたいと考える人は少なくないようだ。
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