MONEYzine(マネージン)

テーマ別に探す

米大統領選の両候補を徹底比較、「議会選挙」にも注目した3つのシナリオと投資戦略

  • ブックマーク
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
2020/10/25 12:00

 米国大統領選挙がいよいよ迫ってきました。あわせて行われる議会選挙のゆくえにも注目しながら、eワラント証券の多田さんが、3つのシナリオと投資戦略を解説します。

大統領選と議会選挙、両方に注目!

 2020年最大のイベントとして注目されているのが、11月3日に行われる米国大統領選挙・議会選挙です。選挙戦序盤からバイデン氏優勢と見られていましたが、10月前半にトランプ大統領の新型コロナ感染が発覚したことで、さらに支持率差は拡大していると見られています。とはいえ、前回2016年の選挙ではクリントン氏が圧倒的優位と見られていた中で、トランプ氏が大逆転勝利を収めたこともあり、結果判明まで予断を許しません。

 そこで今回は、米国大統領選前の最終確認としてトランプ氏とバイデン氏の政策を比較するとともに、同時に行われる議会選挙を踏まえて、想定されるシナリオと投資戦略についてまとめました。

両者の政策を比較

 バイデン氏とトランプ氏の主張は多岐にわたっていますので、相場への影響が大きそうな経済政策や外交政策に注目すべきでしょう。主要テーマについて、それぞれのウェブサイトに掲げられているものや過去の発言などをもとに比較表にまとめたものがこちらの表です。

 トランプ大統領とバイデン氏がすべての面で対立しているかというと、そうではありません。たとえば、インターネット上に投稿された内容に関してGoogleやFacebookなどインターネット大手企業の免責を認めた通信品位法230条については廃止と見直しの差はあれど、批判的な立場を取っています。

 また、中国との関係においても、両候補とも強硬な姿勢を示しています。どちらが大統領に就任するにしても米中関係の早期改善は見通しが立たず、日本経済に影響が及ぶ可能性は否定できません。

 注目される税制面については、トランプ大統領は1期目に行った法人減税や高額所得者への税率引き下げの継続に加え、中間所得者層への給与税の減免を主張し、労働者層の票をねらっているように見えます。逆に、バイデン氏は大企業や富裕層への課税を強化し、そこで得た財源を大規模なインフラ投資に充当するとして、中間~低所得者層の支持拡大をねらっているようです。

 株式市場に影響がありそうという意味でいうと、キャピタルゲイン課税についても見逃せません。バイデン氏は株式等の売買益に対する課税を最大で2倍近くまで拡大するとしています。現在、米国ではいわゆる「ロビンフッダー」と呼ばれる新興投資家(スマートフォンアプリ「Robinhood」を使って株式投資を行う若い世代の投資家)が誕生し、株式市場でかなり活発な取引が行われています。しかし、株式市場で収益をあげても、その多くが税金として引かれてしまうということになれば、株式取引の魅力を損ね、取引が停滞してしまう可能性もありそうです。

 個人的に注目しているのは、金融規制に対する変更があるかどうかです。バイデン氏が勝利した場合の財務長官の有力候補として、連邦準備制度理事会のブレイナード理事が取りざたされています。トランプ政権下でFRBは金融危機後に導入された銀行規制を一部緩和してきましたが、FRB内でその緩和に異論を唱え続けていたのがブレイナード氏でした。ブレイナード氏が財務長官に就任するとすれば、再び厳しい金融規制が課され、金融機関の業績に下押し圧力がかかる可能性もありそうです。

議会選挙にも要注目!

 大統領選と同時に米国議会選挙も行われます。現在は上院で共和党が多数派を占めるのに対し、下院は民主党が多数派で、いわゆるねじれ状態にあります。経済対策第4弾の成立に時間を要しているように、ねじれ状態になると議案の進捗が滞るなど政治の停滞を招くことになりますので、議会選挙の結果にも注目です。

 上の表にあるように、上院の議席数は100、下院の議席数は435です。上院の任期は6年で2年ごとに1/3が改選されます。今回の改選議席は33で、民主党の12議席、共和党の21議席が対象です。米国の政治情報サイトRealClearPoliticsでは、本稿執筆時点(10月21日)で、民主党が非改選議席をあわせて51議席(民主党に近い無所属議員2名を含む)と民主党の勝利を予想しています。ただし、接戦となっている州も複数あり、今後の選挙戦次第では状況が大きく変わる可能性もありそうです。

 一方で下院の任期は2年で435議席のすべてが改選となります。大統領選と下院の選挙が同じ年の場合、大統領の属する党が下院でも多数派となる傾向が高いと言われています。ただし、現在の共和党の議席数は民主党に比べ大幅に少なく、トランプ大統領が圧倒的な勝利で再選を果たすようなことがない限りは、下院での民主党優勢の状況は変わらないものと考えられます。前述のRealClearPoliticsでも民主党が多数派を維持すると予想されています。


  • ブックマーク
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

著者プロフィール

  • 多田 幸大(タダ コウダイ)

    eワラント証券株式会社 投資情報室長

    一橋大学法学部卒業。事業会社で法人営業に従事した後、2016年にeワラント証券に入社。
    投資初心者にもわかりやすくをモットーにレポート執筆やセミナー講演を行っている。

     

本記事は、投資や貯蓄などマネーを活用するための情報提供を目的としており、続きを見る

All contents copyright © 2007-2020 Shoeisha Co., Ltd. All rights reserved. ver.1.5