新型コロナが直撃した外食産業の決算をチェック
外食産業は、航空会社、旅行代理店、ホテル・旅館などとともに、新型コロナ感染拡大による影響を最も受けた業種である。とくに、4月から5月にかけて発令された非常事態宣言などにより、営業時間の短縮を余儀なくされたダメージは大きい。決算数字で確認しておこう。
たとえば、外食の勝ち組企業とされてきたサイゼリヤ(7581)である。同社は20年8月期の年次決算で、グループ全体で赤字を計上。以下の図に示した「日本事業(国内店舗)」も赤字転落だった。

19年8月期と比較して店舗数や客単価は横バイだったが、1店舗1日平均の客数が「406人→324人」と80人以上も減少したことで売上高が減少。その結果、国内の各店舗は、1日平均1.4万円の営業赤字に陥った計算になる。営業するだけで損を出していたわけだ。
もちろん、20年3月から5月の3か月の売上高が大きく落ち込んだ(前年同期間比マイナス47%)ことが、赤字の最大の要因であることは明白。6月から8月にかけては30%のマイナスと、減少幅はやや持ち直し傾向にあるようだ。
同業他社も同様である。コロナ禍の影響が最も大きかった春先の3か月間の売上高と営業利益を示した以下の表を見てもらおう。

増収増益だったのは、「ケンタッキーフライドチキン」を展開している日本KFCホールディングス(HD/9873)だけである。日本マクドナルドHD(2702)は、減収ながら増益だった。
この2社は、コロナ禍を乗り切っている外食の代表といっていいだろう。他社は、売上高がマイナス、営業利益も大幅減少か赤字転落である。