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後継者不在率が全産業で50%超も、第三者への承継ニーズは0.1%の低水準

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2020/11/28 13:00

 東京商工リサーチは11月13日、「2020年 後継者不在率調査」の結果を発表した。調査は同社の企業データベースのうち、2018年以降の後継者に関する情報が蓄積されているデータから18万5,247社を抽出して分析したもの。「後継者不在率」は、営業活動を行い事業実態が確認できた企業のうち、後継者が決まっていない企業の割合を示す。

 その結果、2020年の企業の後継者不在率は57.53%で、前年より1.9ポイント上昇。産業別で後継者不在率が最も高かったのは「情報通信業」の75.69%。情報通信業はソフトウェア開発などIT関連業種が含まれ、業歴が浅い企業が多く代表者の年齢も比較的若いことが影響した。以下、「サービス業他」が63.31%、「小売業」が60.79%、「不動産業」が59.29%で続き、全産業で50%を上回った。2019年は「農・林・漁・鉱業」が48.98%、「製造業」が48.35%で、2産業が50%を下回っていた。

 後継者「有り」の7万8,674社では、息子、娘などへの「同族継承」を予定する企業は5万3,065社(構成比67.4%)で約7割を占めた。次いで、従業員へ承継する「内部昇進」が1万3,556社(同17.2%)、社外の人材に承継する「外部招聘」が1万1,727社(同14.9%)で、いずれも20%を割り込んだ。

 一方、後継者「無し」の10万6,573社に中長期的な承継希望先を聞くと、「未定・検討中」が53.72%で最も多く、「設立・交代して浅い、または、若年者にて未定」が39.31%で続き、それ以外の選択肢は低い水準にとどまっている。中でも「会社を売却・譲渡の方針」は206社(同0.1%)、「外部からの人材招聘と資本受入の方針」は128社(同0.1%)で、第三者への承継へのニーズが依然として低いことがうかがえる結果となった。

 また、東京商工リサーチは11月2日、「2020年1月‐9月 後継者難の倒産状況調査」の結果を発表した。この調査では1月から9月に発生した人手不足関連倒産(後継者難・求人難・従業員退職・人件費高騰)から、後継者難倒産を抽出して分析した。

 1月から9月に発生した全国の企業倒産は前年同期2.4%減の6,022件で、前年を下回って推移する中、「後継者難倒産」は前年同期比54.4%増の278件となり、前年の1.5倍に達した。また、集計を始めた2013年以降で年間最多となった2015年の279件を上回るのは確実で、300件を大幅に上回る可能性もある。

 後継者難倒産の要因は、代表者などの「死亡」が42.80%で最も多く、以下、「体調不良」が34.53%、「高齢」が12.58%、不慮の事故などを含む「その他」が10.07%で続いた。経営全般をひとりで担当する代表者が死亡や体調不良に直面すると、代替できないことから、倒産につながるケースが少なくないようだ。

 産業別の件数は「建設業」が22.30%で最も多かった。以下、飲食業を含む「サービス業他」が18.70%、「卸売業」が17.62%、「製造業」が16.18%、「小売業」が13.30%で続いた。後継者難倒産が急増する背景について東京商工リサーチは、代表者の高齢化に加えて新型コロナによる事業意欲の低下を指摘している。

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