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コロナ禍で鉄道ビジネスに危険信号、鉄道関連会社の従業員給与ランキング

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 コロナ禍で事業の先行きが一転した鉄道各社は、キャッシュの積み上げに動いている。不動産などグループ会社も含めた、鉄道関連会社の従業員給与を見てみよう。

コロナ禍の鉄道各社、キャッシュの積み上げに動く

 新型コロナ感染拡大にともない通勤通学客やビジネス客、観光客のいずれもが減少・消滅。そのため、JR各社や大都市圏の私鉄など株式上場企業は相次いで、21年3月期決算の赤字予想を発表した。大手を中心に上昇基調にあった従業員給与への影響も避けられないようだ。

 日銭が確実に入るだけに、手元に残すよりは事業拡大に向けた投資にキャッシュを振り向けてきたこれまでのビジネスモデルにも、危険信号が点滅ともいえるだろう。

 JR東日本(9020)JR西日本(9021)JR九州(9142)近鉄グループホールディングス(HD/9041)が、手持ちキャッシュの積み上げに動いた。観光地の箱根を抱える小田急電鉄(9007)、羽田や成田への空港路線運営している京浜急行電鉄(9006)京成電鉄(9009)も同様である。各社とも借入や社債の発行などで手当てした。

 鉄道事業における人件費を1000円の切符でたとえたら、JR東日本は220円前後。新幹線で集中的に稼ぐビジネスを確立してきたJR東海(9022)は、120円強に相当する。

 グループ全体の売上高を鉄道の営業距離数で割ると1km当たり110億円の計算になる。大手では最も効率的に稼いでいる(鉄道以外の売上高が多いことも意味する)東急(9005)は、1000円の運賃のうち、人件費はおよそ250円である。

鉄道会社の従業員給与ランキング

 従業員給与ランキングを見てみよう。相模鉄道を従える相鉄HD(9003)と、阪急阪神HD(9042)がトップを競う。阪急阪神HDは阪急電鉄と阪神電気鉄道を子会社として擁しているほか、神戸電鉄(9046)、百貨店のH2Oリテイリング(8242)、関西テレビ放送は関連会社だ。

 西武HD(9024)京阪HD(9045)を含めて、持株会社が上位にランクイン。近鉄グループHDは、従業員が増加したことで800万台を割り込みランクを下げた。

 平均年収を800万円台に乗せてきた関西高速鉄道は、大株主のJR西日本に鉄道施設を貸与。大阪府や大阪市、兵庫県などの出資も受けている第三セクター方式の企業体だ。関西高速鉄道と同じように第三セクターで出発した首都圏新都市鉄道(つくばエクスプレス)、国と都で100%株式を所有している東京メトロ(東京地下鉄)は、鉄道事業の運営も実施している。

 JR東海とJR東日本は700万円台での推移だが、平均額算出対象の従業員数が多いことを考慮すると、給与水準が高い企業に分類していいだろう。3700社を超える上場企業の平均給与は、およそ620万円である。

 ローカル鉄道は400万円台や300万円台が目立つ。利用客が少なく、経営体力にも恵まれているとはいえないが、踏ん張ってほしいところだ。

 鉄道40社の従業員平均給与は、18年決算期602万円、19年決算期606万円、20年決算期608万円である。額はともかく増額での推移だった。それだけに、コロナ禍による赤字転落による従業員給与への影響は注目しておきたい。

 従業員数は1社平均3579人で、平均年齢は42.3歳、平均勤続年数は16.9年である。少人数で構成されている持株会社が含まれているため、平均従業員数は少なく出ている。平均年齢と平均勤続年数からは、基本的には各社とも定年退職まで勤務する終身雇用型と推定される。

 JR東海とJR西日本の平均勤続年数は、国鉄時代を含めた平均勤続年数。国鉄の民営化は1987年であり、国鉄時代からの現役組が健在ということだ。民営化後に限れば、平均勤続年数は1年から1.5年短くなる。


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