MONEYzine(マネージン)

テーマ別に探す

中小企業の資金調達をファクタリングはどう変えるのか? 3つの事例と今後の展望

  • ブックマーク
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
2021/01/22 12:00

 中小企業の資金調達手段として注目されている「ファクタリング」について、マネーフォワードケッサイ取締役会長の家田 明氏がわかりやすく解説する連載も今回が最終回。二者間ファクタリングの具体的な活用事例のほか、今後のファクタリング市場の展望についても説明します。

ファクタリングの有益性

 前回は、二者間ファクタリング(以下、ファクタリングと呼ぶ)には、ファクタリング利用企業が売掛先に債権売却をしたことを知られないという利点のほかに、以下のような複数のメリットがあることを紹介した。

  1. ファクタリングは金融機関からの融資に比べて、申込みから実行までの時間が短い。
  2. ファクタリング利用企業にとっては、自社の業績等の経営状況に関わらず資金を調達できる可能性がある。
  3. 売掛先からの支払い不能リスクを回避することが可能である。
  4. 担保や保証人を要しない。
  5. オンライン型ファクタリングでは、利用企業は原則としてリアルの面会が不要である。

 要は、ファクタリングは、金融機関からの融資に比べて、資金調達のための交渉コストも含めて、機動的で手軽な資金調達手段であることになる。もちろん、金融機関からの融資自体は重要な資金調達手段である。また、金融機関と融資取引を通じた付き合いを持つことで、ビジネスに関する相談をしたり、新たな取引先を紹介してもらうといった利点を享受することも可能になる。このため、ファクタリングは金融機関からの融資の完全な代替ではなく、補完的な資金調達手段として位置付けられるものである。

 さて、ファクタリングによる資金調達が企業にとってどのような局面で有益であるかを説明する。

 企業が商品やサービスを売掛先に提供する場合、まず、商品やサービスを作り出すための仕入れが必要となる。仕入れ代金の支払いは、一般的に売掛先からの入金の前に行われる。当該企業は仕入れた部材等を用いて商品やサービスを相応の時間をかけて作る。その過程では、製造費や人件費も発生し、支払いが必要となる。売掛先に商品やサービスを納入してもその段階で売掛先から直ちに入金があるわけではなく、一定の期間(数か月等)後になって入金があるというのが商慣習になっている。

 つまり、資金的には、仕入れ先等への支払いが売掛先からの入金に先行して発生する。このため、当該企業にとっては、資金収支の時間的なずれに伴い資金不足になるため、ビジネスを進めにくくなる。

 この場合、上述のように、金融機関からの融資は相対的には機動性に欠けることから、資金不足の状態を早期に解消するための資金調達手段としては使いづらい面がある。そこで、当該企業がファクタリングを用いて、売掛先からの入金の前に売掛債権をファクタリング業者に売却して早期に資金化すれば、資金不足の期間を最小化することが可能となる。資金不足期間を短縮することができれば、ビジネスを進めるうえでの制約が外れることになる。


  • ブックマーク
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

著者プロフィール

  • 家田 明(イエダ アキラ)

    1988年 東京大学大学院理学系研究科修士課程修了、同年に日本銀行に入行。考査局、京都支店、営業局、金融研究所、金融機構局などを経て、2011年から2013年まで、鹿児島支店長。2016年に金融機構局金融高度化センター長に就任し、ITを活用した金融の高度化、リスク管理と内部監査、地域プロジェクト支援、金融機関の働き方など、金融機関のリスク管理・経営管理の高度化を支援。2018年に、マネーフォワードに入社。現在、マネーフォワードグループで企業間後払いサービスや売掛金早期資金化(ファクタリング)サービスなどを手がけるマネーフォワードケッサイ取締役会長。

本記事は、投資や貯蓄などマネーを活用するための情報提供を目的としており、続きを見る

All contents copyright © 2007-2021 Shoeisha Co., Ltd. All rights reserved. ver.1.5