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ECを巻き込んで成長する物流市場、ヤマト・SGを含む物流関連77社の従業員給与ランキング

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 日本郵政と楽天の資本・業務提携が発表され、ECを巻き込んだ物流の世界は変わりつつある。今回はトラック輸送や倉庫運営、国際貨物、高速道路など物流関連77社の従業員給与ランキングを見てみよう。

物流の「高い原価率」と「低い営業利益率」

 トラック輸送や倉庫運営、国際貨物、高速道路などを手がけている物流関連77社の従業員給与ランキングである。各社の年収水準を確認してみよう。

 物流企業は、国内外の企業間物流(BtoB)を通して産業活動や人々の生活を支える、という重責を担う。年々市場規模が拡大してきたネット通販(BtoC)は、付帯サービスの代金回収業務を含めて物流各社の存在がなければ成立しないといっていいだろう。トラック輸送に限っても事業者数は6万強、運送市場規模はおよそ15兆円と推定されている。

 物流業界では、日本郵政(6178)が、国内通販でアマゾンに次ぐ楽天グループ(4755)と資本・業務提携に踏み切るといった、新たな合従連衡の流れも出てきた。日本郵政の子会社、日本郵便は宅配便事業で、ヤマト運輸、佐川急便に次ぐ3位である。

 ただし、各社ともドライバーの確保や集配業務の効率化といった課題を抱えているのも事実。労働集約型事業の代表であり、人件費の負担が重いことでも共通する。

 宅配便トップのヤマト運輸を擁するヤマトホールディングス(HD/9064)と、2位佐川急便を中心とするSGホールディングス(HD/9143)の各種数値で、物流企業の概要や特徴を見ておこう。個人宅などへの配達については、ヤマトHDは登録商標の「宅急便」、他社は「宅配便」を使用する。

 ヤマトHDとSGHDの2グループは、BtoCなどのEC進展を背景に売上高を着実に伸長。まもなく発表する21年3月期決算も増収増益予想である。労働力不足を背景に、宅急便・宅配便の取扱個数そのものは抑制しつつ、1個当たりの単価を上昇させた戦略が功を奏したといえるようだ。

 ただし、高い原価率・低い営業利益率の大幅改善は未達である。たとえば、ヤマトHDの場合、「下払経費」として計上している”配達パートナー”などへの外注費と社内関連の人件費と合計すると、売上高の90%前後を占めている。

 わかりやすくいえば、宅急便1個1000円につき900円は人件費・外注費に相当するということ。運送車両の維持費や燃料代、新車への投資負担も欠かせない。原価率が高止まりしている要因だ。

 BtoCに加えBtoBビジネスにも注力するSGHDの場合、ヤマトHDと比較すると売上高に対する人件費・外注費関連比率は低いものの、それでも原価率はおよそ90%での推移である。

 国内宅配便事業を日本郵便に譲って(押し付けて?)、BtoBや国際物流にシフトしている日本通運(9062)日立物流(9086)、西濃運輸を擁するセイノーホールディングス(HD/9076)の原価率もほぼ90%である。

 複数の荷主から集荷した貨物をとりまとめ運送人として航空・海運・鉄道・貨物自動車に運送を委託する、いわゆるフォワーダーの近鉄エクスプレス(9375)は、原価率こそ80%強にとどまるが、関税業務などのコストも加えると、利益率は低水準というのが現実だ。


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