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コロナ禍で状況が一転 最終利益急回復の海運各社の従業員年収推移

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 新型コロナウイルスの感染拡大によって状況が一転し、海運大手3社は最終利益を急回復させている。本記事では、その背景とともに海運会社の従業員年収推移も含めて紹介する。

コロナ禍で状況が一転、急回復の海運大手3社

 海運大手3社の日本郵船(9101)、商船三井(9104)、川崎汽船(9107)の急激な業績回復を予想していた人は少ないはずだ。コンテナ船を中心とする、世界的な船腹過剰による過当競争と海運市況の下落で3社の経営は安定せず、1,000億円超から2,000億円台の大幅赤字決算を余儀なくされた年度もあった。

 黒字と赤字を繰り返してきた川崎汽船の場合、相撲の星取表でいえば過去15期は10勝5敗。大手上場企業としては褒められた成績ではないだろう。

 インバウンド需要などを取り込み上昇気流に乗るANAホールディングス(9202)と日本航空(9201)に対して、海上は暴風雨状態。空と海では対照的だったが、新型コロナウイルスの感染拡大で状況は一転した。

新型コロナウイルスの影響で、状況が一変
新型コロナウイルスの影響で、状況が一変(写真は著者提供)

 インバウンド需要が消滅し「減便→赤字→資本増強(借金)」を強いられた航空2社に対して、海運大手3社は最終利益(当期利益)を急回復。22年3月期も21年3月期比で、日本郵船と商船三井は5倍強、川崎汽船は3倍強の増額を予想している。

 表でも明らかなように、海運大手3社は売上高と運航船舶数を減少させながら、利益の拡大を実現した。北米・欧州航路などを中心にコンテナ輸送が急増する需要に追いつかず、運賃が高騰化したことが最大の要因である。

 巣ごもり需要もあって、オンラインで購入した商品などを、船で輸送する荷物量が増大する一方で、コロナ禍による人手不足で米国などの貿易港における荷役作業が停滞。荷物の積み下ろしに時間がかかり、コンテナそのものが不足するという、想像もしていなかった状態も起こっているほどだ。

 実は、コスト削減や経営の安定化を目的に3社は、最大の赤字要因だったコンテナ事業の統合に踏み切り、オーシャン・ネットワークエクスプレス(ONE)を共同で設立(17年7月)している。

 そのONEは、224隻を運用して売上規模1.5兆円、税引き前利益3,800億円まで業績を拡大(21年3月期)。共同出資者である3社の利益拡大に貢献するとともに、3社に対し合計500億円の配当金を出すまでになっている。

 コンテナ事業の統合は3社にとっては苦肉の策だったが、結果的には世界6位クラスへの規模拡大などが功を奏したといえるだろう。

 日本郵船に至っては、8機の貨物航空機を運用して国際貨物航空便事業も展開しているが、海上輸送の停滞・混乱で、航空貨物需要増という追い風も受ける。

 大手3社を含め、海運会社にとっては大きな転換点である。得意とするLNG運搬船や自動車輸送船をベースに、環境に最大限に配慮する次世代燃料船などで世界の競合に先駆けるチャンスである。

 商船三井は上場子会社に不動産のダイビル(8806)を抱え、賃貸用不動産の含み益は2,300億円を超す。日本郵船の含み益は約800億円規模である。飯野海運(9119)や栗林商船(9171)、明治海運(9115)なども不動産業やホテル事業を営む。海運各社にとっては不動産の有効活用も重要なポイントになる。


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