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ここで理解しておきたい中国株市場の気になる“中身”

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2007/10/01 11:30

上海市場、深セン市場、そして香港市場の3市場から構成されている中国株市場。今回はこの中国市場の特徴をわかりやすく理解するために中国本土株市場(上海・深セン)と香港株市場の2つに分けて説明していきたい。

中国市場は上海、深セン、香港の3市場

 8月末に、英紙「フィナンシャル・タイムズ」が「香港株式市場を含めると、中国の株式時価総額はすでに日本を追い抜いた」と報じた(元記事)。このニュースは中国本土でも比較的大きく扱われた。同報道によると、8月28日終値ベースの株式時価総額は、日本が4兆7,000億米ドル、中国が4兆7,200億米ドルとなり、日本を追い抜いた。また、エコノミストの中には「2017年までにA株の時価総額は4兆5,000億米ドルを超え、世界第3位に躍進する」と予想する人もいる。

 これほどまでに大きくなった中国株市場とは実際にはどのような市場なのだろうか。中国株市場と言った場合、上海市場、深セン市場と香港市場の3市場を指す。しかし、ここでは制度などを考えて中国本土株市場と香港株市場の2つに分けて説明する。

中国市場の構成
中国市場の構成

中国本土株市場

 中国本土には上海と深センの2つの証券取引所がある。それぞれの取引所にA株市場とB株市場が存在しており、上場している株をA株、B株と呼んで区別している。また、A株には中国政府などが実質的に保有する国有株などの非流通株と市場で自由に売買できる流通株がある。

 元来、A株市場は中国本土居住者向けの株式を売買する市場で、B株市場は外国人投資家向けの株式を売買する市場であった。そのため、両取引所のA株は人民元建てで売買されるが、上海B株は米ドル建て、深センB株は香港ドル建てで売買される。しかし、B株市場は2001年2月から中国本土居住者の売買も可能となり、現在、中国本土居住者はA、B両方の株が売買可能だ。一方、海外の投資家は、原則、B株しか売買できない。QFII(適格海外機関投資家)制度を使い、一部の海外機関投資家はA株の購入ができるが、投資枠の制限がある。

 2007年8月末時点で、上海A株は842銘柄、B株は54銘柄、深センA株は619銘柄、B株は55銘柄ある。また、A株とB株に重複上場している銘柄は上海市場で44銘柄、深セン市場で42銘柄ある。時価総額に関しては、近年の株価上昇で急激に増加しており、07年8月末時点で、上海A株市場の時価総額が概算で17兆8,550億人民元、B株市場が1,200億人民元、深センA株市場で5兆2040億人民元、B株市場で1340億人民元となっている。(各種データは香港証券取引所ホームページより)

回転率が高く、個人投資家中心の市場

 中国証券監督管理委員会のデータによると2007年7月末時点で投信会社、証券会社、保険会社、適格海外機関投資家(QFII)などの保有株がA株市場の時価総額に占める割合で44%に達したと現地メディアで報じられている。確かに、機関投資家の割合は、年々、増加している。

 しかし、本土株市場の売買主体は個人であり、短期売買が中心となっている。そのことは、株取引をする際に必要な証券口座の増加件数や売買回転率(売買代金÷時価総額)から読み取ることができる。中国では株式を売買する際、投資家は決済機関に証券口座を開設しなければいけない。口座の増加件数は相場の上昇時には多く、調整時では少ない。これは個人が相場の動向によって口座開設をしている状況を示している。

 また、2007年1-8月の上海A株の売買代金は概算で21兆1043億人民元、8月末の時価総額で売買回転率を計算すると1.18回、同期間の東証一部の売買回転率が1.00倍で、日本と比べてそれほど売買が頻繁でないように感じるが、上海A株市場の流通株だけを集計した時価総額は5兆1,502億人民元であり、ここから売買高回転率を計算すると4.10回になる。日本でも子会社や関連企業の株式など、市場で売買されない株は存在するが、この数字はかなり高い数字である(各種データは上海取引所ホームページより)。

 このように市場の売買主体が個人投資家であるため、個人投資家の噂や思惑によって相場が大きく動くことがある。5月末に中国政府が本土株市場で印紙税率を0.1%から0.3%に引き上げた際、金額としては大きくなかったため相場への影響は少ないと多くのアナリストは予想した。

 しかし、実際には本土株市場は比較的大きな調整をした。その背景には、個人投資家の中で広まったキャピタルゲイン課税導入の噂があった。個人の噂だけで相場が形成されているわけではないが、根拠のない単なる噂と思っても相場を大きく動かす要因となることがあり、それが中国本土株市場だ。

香港株市場

 次に加熱する香港市場について説明していきたい。


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著者プロフィール

  • 有井 誠(アリイ マコト)

    内藤証券 中国部 アナリスト。社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員。学生時代から、中国、タイ、インド、ベトナム、ラオス等、東南アジアを中心に長期の旅行を繰り返す。今までに訪れた国は10カ国以上。現地で民家に泊めてもらうことも多くあり、観光地では見ることの出来ない一般庶民の生活を肌で感じた。今、当時の貴重な経験が役立ち、また、懐かしくも思う。現在、内藤証券中国部アナリストとしてレポート等を作成。

本記事は、投資や貯蓄などマネーを活用するための情報提供を目的としており、続きを見る

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