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エンタメ潮流コラム「映画産業の今後を占う」

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 今、邦画が元気である理由は、前回のコラムで邦画の歴史的な背景から説明した。今回はこれから先、「映画産業の今後」について述べたいと思う。

転換点を迎えつつある映画産業

 前回述べた通り、映画産業では垂直統合型から水平分業型へシフトする中で資金の好循環が生じ、邦画は拡大を続けてきたが、ここにきて大きな転換点を迎えつつある。具体的には、スクリーン数の限界や、公開作品数の増加の割にヒットの割合が少ないこと、などである。

 社団法人日本映画製作者連盟によると、2006年には、スクリーン数は3,062スクリーン(前年は2,926スクリーン)となった。興行収入2,000億円を前提とすると、平均的に1スクリーンの損益が黒字になるには、3,000スクリーンが限界といわれている。つまり、市場全体の拡大がなければ、シネコン同士の競合が生じ、淘汰されていくことも考えられる。

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スクリーン数の推移

 2006年の邦画の公開作品は417本(前年は356本)で、うち10億円以上の作品は28本。その割合は6.7%(同7.3%)に低下している。また、10億円以上の作品の興行収入合計は783.9億円となり、28作品で邦画の73%を占める結果となっている。すなわち、邦画全体では好調ではあるが、ヒットする作品は限られているといえる。

 したがって、出資に対するリターンは平均的に低下する可能性があろう。映像パッケージ市場については、2006年の市場規模は3,322億円(前年比10%減)、うちDVDは3,266億円(同6%減)となっており、市場は成熟期になりつつある。

 すなわち、一部の作品は好調に推移しているものの、かつてのような成長率を市場に期待することはできにくくなっている。したがって、映画で赤字でもDVDで黒字化させるようなビジネスモデルは従来よりも慎重にならざるをえないとみられる。この点でも収益性の悪化が予想されよう。

 以上を考慮すると、一見すると好調にみえる日本の映画産業であるが、これまでの成長シナリオは転換点を迎えつつあるといえる。


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