信用取引の思いがけないリスク
信用取引は、現物取引にはない「空売り」や「レバレッジ」といった大きなメリットをもたらしてくれますが、一方でリスクがあるのも事実です。今回は、そのリスクについてお話ししたいと思います。
信用取引のリスクとは何でしょうか。通常の株取引で考えられるリスクは、「価格変動リスク」、「流動性(換金)リスク」、「倒産リスク」などです。「価格変動リスク」は、毎日値動きのある株を取引する上で常に付きまとう問題ですから、このリスクを避けて通ることはできません。
しかし、前回の第8回や第7回にお話しした信用取引の残高を分析することなどで、価格がどちらに動こうとしているのかを予測し、短期的なトレンドの発生をうまくつかむことができるようになると考えられます。そうなれば、価格変動を逆にうまく活用して利益に結びつけることができそうです。
常について回る「流動性リスク」
続いて、信用取引のリスクとして挙げられるのが「流動性リスク」です。これも株取引には常について回るリスクです。この「流動性リスク」とは、売買高が少ない株を取引するときに高くなると考えられます。
なぜなら、売買高が少ない株をたくさん保有する状況になり、その後いざ売却しようとした時、買い注文が少なく自分の売り注文で株価が大きく下落させてしまうということがありうるためです。

例えば、上記の板情報をご覧ください。
この株(左側)は一株単元の銘柄です。この時、中央にある価格を見てみると、一番高い買い注文は68300円となっています。また、買い注文数量は1株です。この状態の時に10株まとめて売る必要が出てきたら、いったいどうなるのでしょうか?