フランス大学生は「卒業=失業」の就職難
ひと月ほど前(2008年3月)、小田急バスなどのストライキがありましたね。フランスでは、以前のように頻繁ではありませんが、最近でもたまに、路上でマニフェスタシオンと呼ばれるデモ行進があります。
とくに多いのが、若年労働者のデモです。フランスにはわが国のような4月入社のシステムがありません。大学3年の後半、いっせいに就職活動に入ることも彼らはないのです。
フランスの大学生は卒業証書を手にしてから、就職を希望する会社に個人的にアプローチ。企業側の厳しい審査を通った学生だけが、さみだれ式に社会に巣立ちます。よく知られているソルボンヌ大学の卒業生の多くは、まさに「大学は出たけれど」状態。彼らに待ちかまえているのは、卒業=失業の憂き目なのです。

2006年4月、フランス政府は「初期雇用契約」を公布。簡単にいえば、26歳未満の若者を採用する場合、2年以内なら理由の通知なく解雇できる、というものです。ようやく手に入れた就職先でも、解雇されやすくなってしまったのですからたまったものではありません。ちょうど2年ほど前に起きたフランスのデモは、こうした背景があったのです。
1ユーロ、くれませんか?
こうした厳しい状況下でも、フランスの親は金銭面での甘やかしはしません。選挙権が与えられるのがフランスでは18歳だから、それを機に成人とみなされます。経済的な独立こそ、大人の証。最近は日本同様、親離れの遅さが問題になりつつあるようですが、成人したら家を出るのが常識。まだ大学生だから親掛かりでも仕方がないという、エクスキューズは通用しないのです。
パリの町を歩いていて、通りすがりのパリジェンヌやパリジャンに、「ボンジュール・マダム、すいませんが、5フランくれませんか」といわれた経験があります。今や、フランはユーロに切り替わったので、「1ユーロくれませんか」になっているはず。1ユーロは約150円だから、彼らのポケットには150円さえもないわけです。
これは遠い昔の話でもなければ、彼らの両親が特別貧しいわけでもありません。仕事がない、あってもお給料は高くない状況で、親の援助がないからです。ではどうやって生活していくのか。フランスでは「カップルで助け合えばよい」というのが1つの考え方としてあります。