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投資詐欺の実態 Vol.1 「SNSで儲けた詐欺師の来訪」

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2007/10/01 11:30

近年、投資詐欺が横行している。「自分だけは騙されない」という人が詐欺師にカモにされているのが実態だ。本連載では私の経験も踏まえながら詐欺師の手口を公開していきたい。さまざまな詐欺の手口を知り、詐欺から身を守ることができたらこれ以上幸いなことはない。

下手な予想も数打ちゃ当たる~SNSを利用した投資詐欺の実体~

「実は私、詐欺を行っていまして…」
ここは弁護士事務所の相談室。損害賠償請求を受けていると言って突然相談に訪れた者は詐欺師だった。聞けば詐欺の被害者から損害賠償請求をされているとのことである。

 いったいいくら請求されているのかという問いかけに対し「1,000万円くらいです」とその男はバツが悪そうに答えた。目の前に座っている男は、ごく普通の中年男性である。時折見せる照れくさそうな笑みからは人の良さそうな性格すら窺える。滑舌は必ずしも良いとは言えない。正直言って到底詐欺師とは思えない。

 その男の詐欺の手口はこうだ。SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)を通じて投資に興味がありそうな者に、

「私は、大企業の大物と太い人脈を持っています。そのため、大きな声では言えませんが、インサイダー情報をいち早く入手することができるのです」

と声をかける。無視されることも多いが、興味を持った一部の者から何らかの返信がなされることもある。その者に対し、内緒だけれどもと前置きをして、

「○○の株はもうすぐ値上がりします」

と伝える。その株の値上がりについては何の裏付けもない。その後、株価が変動しないことや、逆に値下がりすることもある。しかし、偶然値上がりすることもある。予想が的中した場合、多くの人がもっと情報を教えて欲しいとせがむ。そこで、

「今回は特別ですよ」

と前置きした上で、

「□□の株はもうすぐ上がります」

と伝える。同じようにその予想が的中すれば、もはや相手の心を手中に収めたも同然だ。目の色を変えた者達が必死に低姿勢となり、もっと教えて欲しい、教えてくださいとせがむことになる。そこで、

「これまでは口が滑って情報を伝えたが、これ以上教えるつもりはない。しかし、私にお金を預けてくれれば、1年間で倍以上になることは間違いない」

などと伝え、投資資金を受け取るというものである。

狡猾な手口の末に掴んだ1,000万円

 なるほど狡猾である。オレオレ詐欺のように、下手な鉄砲も数打ちゃ当たる方式の詐欺である。しかもそこに偶然の予言の的中という要素を絡め、自らの言葉に信憑性を与えている。また、ほぼすべてがメールによるやり取りなので滑舌が悪くても問題ない。さらに、その者の見映えなど問題とならない。

 しかし、インサイダー情報を入手できるなどと虚偽の事実を告げていることからお分かりのとおり、これは明らかに詐欺である。詐欺罪には10年以下の懲役刑が科せられる(刑法第246条)。また、メールのやり取りを通じて、詐欺の証拠がバッチリ残っている点もいただけない。

 そして民事上では、詐欺を理由とする取消(民法第96条1項)や、消費者契約法による取消(同法第4条)等によって、契約自体が取り消され出資金の返還請求を受けることになる。その男も投資した者から、「ただちに全額を返金しろ、返金しなければ詐欺で警察に届け出る」と言われ、弁護士事務所の門を叩いたという次第であった。投資を受けた1,000万円はどうなったのかと聞いたところ、株式投資に注ぎ込み全て失ったとのこと。ハッキリ言って状況は極めて悪い。


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本記事は、投資や貯蓄などマネーを活用するための情報提供を目的としており、続きを見る

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