買戻しの買いを利用して儲ける
今回から、信用取引を活用した実践テクニックをご紹介したいと思いますが、その前に実際の株式市場の動きと信用取引残高の状況がどのような相関関係になっているかから分析してみましょう。

上のチャートは、2007年8月から2008年5月末までのTOPIXと信用取引残高(東証1、2部、マザーズ、投信等の合計)の推移です。
見て分かるように、07年8月当初は40億株程度あった買い残高が、2008年5月初旬ごろまで減少を続け、約25億株程度まで減少しています。一方、売り残高は、07年3月17日の安値を付けるまで、ほぼ横ばい状態でしたが、その後直近の5月30日まで、緩やかですが約14億株まで増加を続けています(一方、信用買い残の金額ベースでは、およそ4兆円から2兆円数千億円までの減少となっています)。

上記の信用残高の推移から計算した信用倍率は1.77倍となっており、これまでここでご紹介した好取組に近い状態となっています。好取組とは、信用取引の買い残高と売り残高が拮抗して、倍率が1倍に近づくことでした。
さて、株価が2008年7月に高値を付けてから、大きく下落していましたが、3月17日の日本時間夜に米FRBの緊急利下げがあった翌日から株価が下げ止まると同時に、じわじわと上昇してきています。また信用取引の残高の推移を見ても、買戻しが進まないばかりか、さらに売り残高が増加する状況となっています。
では、なぜこのような株価動向と信用残高の推移になったのかを、これまでここでお話したことを思い出しながら考えてみましょう。
今年の取引がスタートした時点では、株価は下落するとの予想が大半だったので、信用取引で売ったまではよかったわけです。ところが、売った後に株価が下がるどころか、逆にじわじわと上昇しているわけですから、信用取引で売った投資家からしてみれば、株価が下落すると返済のために買戻しを行わざるを得ない状況となり、またそれが、逆に株価下落時の下支えとなったと考えられるのではないでしょうか。
このように、これまでお話してきた信用取引残高と株価の関係が東証全体の株価指数の動きとも一致しているのが分かります。
売り残増 → 株価上昇または、下支え要因
買い残増 → 株価下落または、上値圧迫要因
そこで、このような信用残高と株価の動きを利用して、特にこれからの戻り相場で今後も起こるかも知れない、信用取引で売った投資家の買戻しの流れに乗って利益を上げる方法を考えてみましょう。