下がっても下がっても買い手がいないワケ
相場が大きく上方向に動くためには、エネルギーが必要だ。そのエネルギーの大きさを示すものが売買代金である。売買代金の増加を伴って、株価が上昇した場合、本格的な上昇相場が到来する。しかし、本格的な下落相場には、必ずしも、相場が動くためのエネルギーである売買代金は必要としない。
その最たる例が、現在の新興市場だろう。8月15日、日経ジャスダック平均は、7月8日~16日以来、約1ヵ月ぶりに7日続落し、連日で年初来安値を更新した。東証マザーズ指数は4日続落し、こちらは連日で算出来安値を更新した。一方、大証ヘラクレス指数は4日ぶりに反発したとはいえ、取引時間中には連日の算出来安値更新だ。足元では、新興市場における主要な株価指数の安値更新ラッシュに沸いている。
一方、新興3市場の売買代金はお寒い状況だ。昨年10月には1日の売買代金が2,000億円を超える日もあったのだが、今では200億円後半から300億円台が恒常化している。売買代金が低迷している中で、主要な株価指数が安値を更新し続けているのだ。
この最大の背景は、新興企業の業績悪化だ。14日までに決算発表をした、新興上場の658社の08年4-6月期(金融、重複上場を除く)の経常利益は、前年同期比49%減少し、全体の約4割の272社が最終赤字になっているのだ。現時点の会社予想では、4-9月期までは経常減益となったが、09年3月期通期は経常利益、純利益ともに増益を見込んでいる。下期に回復する計画を立てている企業が多いためだ。
しかし、市場はそんなことを信じてはいない。どうせ、下期も計画未達成で、下方修正ラッシュになるだろうと読んでいるのだろう。
つまり、このバリュエーション(株式価値)悪化を織り込む形で、新興市場は下がっているのだ。だからこそ、主要な株価指数が下がっても下がっても、それが割安と思う投資家が現れず、買いが一向に入ってこない。結果、小口売りで、ダラダラと指数は下落し続けているのだ。